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請求書の条件が契約書・発注書と違う箇所を、支払前に洗い出す

外注先の請求書を支払う前に、契約書・発注書・請求書の「単価/数量・工数/期間/金額の計算/支払条件/消費税の扱い/振込先」を並べ、違う箇所だけをAIに出させる方法です。違いの理由と正誤は発注者と相手に聞き、契約の解釈は法務と。

AI操作難易度★☆☆☆☆ 経理財務 実務難易度★★★☆☆ 使う道具チャット型AI

1. Before ― 手元はどうなっているか

架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。外注先からの請求書が届きます。発注者(事業部)の承認印はあります。経理は金額と支払日を見て、支払一覧に載せます。

  • 単価が、契約書の単価と違っていた。気づいたのは半年後、契約更新のとき。差額を6か月分、相手に返してもらう交渉になった。
  • 請求書の「作業期間」が、発注書の期間より1か月長い。延長の合意があったのか、間違いか。
  • 支払条件が「月末締め翌月末払い」のはずが、請求書には「翌月15日払い」と書いてある。どちらが正しいのか。
  • 発注者は「内容は合っている」と言うが、契約書を見て言っているわけではない。

やりたいのは、支払前に、請求書と契約書・発注書の「条件」を並べて、違う箇所だけを出すこと。違いの理由を決めるのは、発注者と相手です。

2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか

(a) 比べる項目を決める … 単価/数量・工数/期間/金額の計算/支払条件/消費税の扱い/振込先。
(b) 契約書・発注書から、(a)の項目を原文のまま抜き出す … AIに引用させ、人が原文と照合。
(c) 請求書から同じ項目を抜き出す。
(d) 並べて、違う箇所を出す … AIにやらせる。
(e) 違う箇所について、発注者に「合意があったか」を聞く … 人。

ここはAIを使わない

違いの理由と、どちらが正しいかの判断。請求書の単価が契約書より高いとき、AIは「請求書の誤りと思われます」と書きますが、単価改定の合意が口頭やメールであった可能性は、AIには分かりません。理由は発注者と相手に聞く。それから、契約の条項の解釈(「作業期間の延長は書面による」が守られているか等)は法務と。AIに任せるのは、並べて、違う箇所を出すまで。

3. AIに任せること/人が判断すること

AIに任せる
  • 契約書・発注書から、比べる項目を原文のまま抜き出す
  • 請求書から同じ項目を抜き出す
  • 並べて、違う箇所と違い方(数字の差、文言の差)を出す
  • 発注者への確認文の下書き
人が判断する
  • 引用が原文と一致しているか
  • 違いの理由(発注者・相手に確認)
  • 支払うか、止めるか、修正請求書を求めるか
  • 契約書の改定が必要か(法務と)

4. 実行 ― AIとのやりとり

準備 ― 契約書の該当条項・発注書・請求書

契約書の該当条項(単価・期間・支払条件・消費税)、発注書、請求書。相手名は記号に。金額はそのまま(比較に必要)。社内ルールで確認します。

用語:チャット型AIだけで完結する使い方です。相手名は記号にし、契約書は該当条項だけを貼ります。用語集
最初にAIへ出す指示(そのまま貼って使えます)【場面と読み手】 私は経理担当です。外注先からの請求書を支払う前に、契約書・発注書の条件と違う箇所を洗い出したいと考えています。読み手は私と発注者(事業部)です。 【事実/入力】 ・以下に、契約書の該当条項(単価・作業期間・支払条件・消費税の扱い)を原文のまま貼ります ・以下に、発注書(件名/数量・工数/期間/金額)を貼ります ・以下に、請求書(件名/単価/数量・工数/期間/金額/支払期日/振込先記号)を貼ります ・違いの理由は、私が発注者と相手に確認します 【依頼】 単価/数量・工数/期間/金額の計算/支払条件/消費税の扱い/振込先 の7項目について、契約書・発注書・請求書の記載を並べ、違う箇所を示してください。 【出力の型】 表:項目/契約書(原文)/発注書/請求書/一致・不一致/違いの内容(数字の差・文言の差のみ) 【禁止事項】 ・不一致の理由(誤り・改定・延長など)を推測して書かないでください ・どちらが正しいかを書かないでください ・契約書の条項を要約・言い換えしないでください

往復1回目 ― AIが「請求書の誤り」と書いた

AIの初稿

単価が不一致(契約書 8,000円/請求書 8,500円)で、「違いの内容:請求書の単価が500円高い。契約書の単価が優先されるため、請求書の誤りと考えられます」。

ここが問題

「契約書が優先」も「請求書の誤り」も、AIの判断です。発注者に聞くと、4月から単価改定の合意がメールでありました。ただし契約書は改定されていませんでした。請求書は正しく、契約書が古かった。

追加で出した指示

「『違いの内容』は数字の差だけにし、どちらが正しいか、なぜ違うかを書かないでください。」

修正版

「単価:契約書 8,000/請求書 8,500/不一致/差 +500」。

人が最後にやること

発注者に聞きます。合意があるなら、契約書(か覚書)を改定するよう法務に相談します。合意がないなら、相手に確認します。どちらにしても、支払前に分かりました。

往復2回目 ― 期間の不一致

AIの初稿

期間が不一致(発注書 4月〜9月/請求書の作業期間 4月〜10月)。「違いの内容:請求書の期間が1か月長い」。

ここが問題

問題ではありません。これが正しい出力です。1か月分の作業が、発注の範囲外か、延長の合意があったのか。AIには分からないし、書いていない。追加の指示は出しません。

人が最後にやること

発注者に聞きます。この架空例では、延長は口頭で合意していたが、発注書が出ていませんでした。発注書を追加で出してから、支払います。「口頭で合意」を、書面にする機会になりました。

5. エラーと例外 ― うまくいかないとき

  • 契約書が見つからない … 法務か発注者に聞きます。契約書なしで請求だけ来ている取引は、それ自体が発注者と相談すべきことです。
  • 発注書がない取引 … 契約書と請求書の2つで比べます。発注書を出す運用にするかは、事業部と。
  • 請求書ごとに毎回やるのは重い … 初回と、条件が変わりそうな時期(契約更新、期の切り替え)だけ。同じ相手の2回目以降は、前回の請求書と今回を比べれば足ります(支払前の確認の型)。
  • AIがまた理由を書く … 削除。「数字の差だけ」を毎回入れます。

6. 検証 ― 正しいとどう言えるか

  1. 表の「違いの内容」に、理由や正誤の判断が残っていないか。
  2. 契約書の引用が原文と一致しているか(人が照合したか)。
  3. 不一致の各項目について、発注者・相手に確認した記録があるか。
  4. 契約書と実際の条件のずれが、改定(覚書・追加発注書)で解消されたか。

7. 注意点

契約書・請求書は、相手名を記号に。金額は比較に必要なので残しますが、社内ルールで確認してください。
理由と正誤はAIに書かせません。発注者と相手に聞きます。
契約の解釈は法務と。この活用例の設例は架空です。

8. After ― 翌月以降、何が変わるか

  • 単価のずれが、半年後の更新時ではなく、初回の請求で見つかります。
  • 「口頭で合意」が、支払前に発注書・覚書になります。
  • 発注者の「内容は合っている」が、契約書を見た上での「合っている」になります。
  • 契約書と実際の条件のずれが、法務に早く伝わります。
明日の仕事で試すこと
  • 今月届いた外注先の請求書を1通選ぶ
  • その相手の契約書から、単価と支払条件の条項だけを見つける
  • 請求書と並べて、違う箇所があるかだけ見る

応用 ― 難易度を上げる場合

支払前の確認(二重払い・振込先変更)は支払う前に、二重払いと振込先の変更を自分で止めると同じ支払一覧で。契約書の読み方の型は、契約書から収益認識の論点を洗い出す(売上側)と共通で、この活用例はその仕入側です。