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自社が適用している会計基準の一覧を作り、改正を追う担当と確認先を決める

注記の「重要な会計方針」と監査法人への提出資料から、自社が適用している会計基準・適用指針の一覧(名称・番号・関係する科目・確認先)を作り、改正情報を追う担当を決める方法です。一覧の整理はAI、改正の有無と内容はASBJの原文と監査法人で確認し、AIには改正を語らせません。

AI操作難易度★☆☆☆☆ 経理財務 実務難易度★★★☆☆ 使う道具チャット型AI

1. Before ― 手元はどうなっているか

架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。監査法人から「来期から適用が始まる基準への対応は進んでいますか」と聞かれました。どの基準のことか、すぐには分かりませんでした。

  • 自社がどの会計基準を適用しているか、一覧がない。注記の「重要な会計方針」には書いてあるが、基準の名前と番号で整理したことはない。
  • 改正の情報は、監査法人のニュースレターと、税理士の話と、たまに見るサイト。誰がどれを読んで、誰に伝えるかが決まっていない。
  • 「うちに関係あるか」を判断する前に、「うちが何を使っているか」が分かっていない。
  • 去年、適用が始まった基準への対応が、監査法人に言われてから始まった。

改正の内容と適用の要否は、基準の原文と監査法人の話。この記事でやるのは、自社が適用している基準の一覧を作り、改正を追う担当と確認先を決めることです。

2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか

(a) 注記の「重要な会計方針」と、監査法人への提出資料(会計方針の説明)から、基準の名称を拾う … AI。
(b) 名称を、正式名称・番号・公表元に揃える … AIが下書き、人がASBJの原文で確認。
(c) 基準ごとに「関係する科目・取引」「社内の担当」「確認先(監査法人の担当・税理士)」を書く … 人。
(d) 「改正情報の確認先」と「確認の頻度」を決める … ASBJのサイト・制度改正カレンダー・監査法人。人。

ここはAIを使わない

改正の有無・内容・適用時期を答えさせること。AIに「この基準は最近改正されましたか」と聞くと、存在しない改正や、時期の違う改正を、もっともらしく答えます。改正の有無と時期は、ASBJの原文と制度改正カレンダー、監査法人で確認します。それから、「自社に関係あるか」の判定も監査法人と。AIに任せるのは、注記や資料から基準の名称を拾って一覧の型に整えるところまで。名称・番号もAIの出力を原文で確かめます。

3. AIに任せること/人が判断すること

AIに任せる
  • 注記・提出資料の文章から、会計基準・適用指針の名称を拾い出す
  • 拾った名称を一覧の型(名称/番号/公表元/関係する科目・取引/担当/確認先)に整える(番号は「要確認」の印つき)
  • 同じ基準が別の名前で書かれている箇所を指摘する
  • 「担当」「確認先」の空欄を人が埋めるための表を作る
人が判断する
  • 名称・番号をASBJの原文で確認する
  • 関係する科目・取引、社内の担当
  • 改正情報の確認先と頻度
  • 改正の有無・内容・自社への影響(ASBJの原文・監査法人)

4. 実行 ― AIとのやりとり

準備 ― 注記と提出資料

直近の注記の「重要な会計方針」の全文と、監査法人に出した会計方針の説明資料。社名は記号に。数字は要りません。

用語:チャット型AIだけで完結する使い方です。渡すのは会計方針の文章だけで、改正についてAIに聞くことはしません。用語集
最初にAIへ出す指示(そのまま貼って使えます)【場面と読み手】 私は経理担当です。当社が適用している会計基準・適用指針の一覧を作り、改正を追う担当と確認先を決めたいと考えています。読み手は私・上司・監査法人です。 【事実/入力】 ・以下に、直近の注記「重要な会計方針」の全文を貼ります ・以下に、監査法人に提出した会計方針の説明資料を貼ります ・基準の番号と改正の有無は、私がASBJのサイトで確認します 【依頼】 ①文章の中から、会計基準・適用指針・実務対応報告の名称を拾い出し、一覧にしてください ②一覧を「名称/番号(要確認)/公表元/関係する科目・取引/社内の担当(空欄)/確認先(空欄)」の表にしてください ③同じ基準が別の呼び方で書かれている箇所があれば指摘してください 【出力の型】 ①②:表(1基準1行)。番号の欄には「要確認」と書き、数字を入れないでください ③:箇所/呼び方A/呼び方B 【禁止事項】 ・各基準の改正の有無、改正の内容、適用時期を書かないでください ・文章に出てこない基準を「一般的に適用される」として足さないでください ・自社に影響があるかどうかの判断を書かないでください

往復1回目 ― AIが「改正」を語った

AIの初稿

②の表に「備考」列が付き、「リースに関する基準:新基準が公表されており、○年○月から適用」「金融商品に関する基準:改正の公開草案あり」のような趣旨の記述が並んでいた。番号の欄にも数字が入っていた。

ここが問題

改正の有無と時期は、その時点のASBJの原文でしか確かめられません。AIの記述は古いか、間違っているか、正しいかが分からず、正しく見える分だけ危ない。番号も同じ。この一覧を監査法人に見せて、番号や時期が違っていたら、一覧全体の信用がなくなります。禁止事項に書いていてもこうなります。

追加で出した指示

「備考列と、改正・適用時期に関する記述をすべて削除してください。番号の欄はすべて『要確認』に戻してください。」

修正版

名称と公表元、関係する科目だけの表になった。拾い出された基準は14件。③で「収益認識の基準」が2通りの呼び方で書かれていた箇所が1つ。

人が最後にやること

14件の名称と番号を、ASBJのサイトで1件ずつ確認して埋めます。時間はかかりますが、この一覧の価値は「原文で確認した」ことにあります。確認した日付も一覧に書きます。

往復2回目 ― 「文章に出てこない基準」

AIの初稿

表の下に「注記には記載がありませんが、一般に適用されている可能性のある基準」として3件が挙がっていた。

ここが問題

「可能性のある」基準を一覧に入れると、適用しているかどうかが分からないものが混ざります。ただし、注記に書いていないだけで適用している基準はあり得るので、「監査法人に聞く候補」としては使えます。禁止事項に書いていてもこうなります。

追加で出した指示

「その3件を一覧から外し、『監査法人に確認する候補』として別に列挙してください。」

修正版

一覧は14件のまま。候補3件が別に。

人が最後にやること

候補3件を監査法人に「当社に適用がありますか」と聞きます。この架空例では、1件は適用していて注記に書く必要がなかったもの、2件は関係なし、でした。一覧は15件になり、「監査法人と確認済み」の印がつきました。

5. エラーと例外 ― うまくいかないとき

  • 注記の記載が簡略で、基準の名前が出てこない … 監査法人への提出資料か、去年の監査で使った「会計方針の説明」から拾います。それでもなければ、監査法人に「当社が適用している基準の一覧はありますか」と聞くのが早い。
  • 確認先が決まらない … ASBJのサイト(公表資料の一覧)を四半期に1回見る担当を1人決め、見た日を一覧に書きます。それだけで「誰も見ていない」がなくなります。
  • 改正が多くて追いきれない … 一覧の「関係する科目・取引」で自社に関係する基準に絞ります。関係の有無の判断は監査法人と。
  • AIがまた改正を語る … 削除。毎回。「改正はASBJの原文で」と最初に書いても出てきます。

6. 検証 ― 正しいとどう言えるか

  1. 一覧の名称・番号が、すべてASBJの原文で確認済みか。確認日が書いてあるか。
  2. 一覧に、改正の有無・時期に関するAIの記述が残っていないか。
  3. 「担当」「確認先」「確認の頻度」が埋まっているか。
  4. 監査法人の「来期から適用が始まる基準は」に、一覧とカレンダーで答えられたか。

7. 注意点

会計方針の文章は公表済みの注記なら貼ってよいことが多いですが、監査法人への提出資料は社内ルールで確認してください。社名は記号に。
改正の有無・内容・適用時期はAIに聞きません。ASBJの原文と制度改正カレンダー、監査法人。
一覧は「適用している基準」の一覧であって、基準の解説ではありません。この活用例の設例は架空です。

8. After ― 翌月以降、何が変わるか

  • 「うちは何を適用しているか」が、原文で確認した一覧で答えられます。
  • 改正情報を見る担当と確認先が決まり、「言われてから始める」がなくなります。
  • 監査法人との会話が、「この基準のこの改正は当社に関係ありますか」と具体的になります。
  • 一覧が、注記の「重要な会計方針」を書くときの下敷きになります。
明日の仕事で試すこと
  • 直近の注記「重要な会計方針」を開き、基準の名前がいくつ出てくるか数える
  • 1つ選んで、ASBJのサイトで正式名称と番号を確かめる
  • その基準の「改正情報を誰が見ているか」を自分に聞く

応用 ― 難易度を上げる場合

改正が注記に与える影響は注記の前年比較と、改正対応が必要な箇所を洗い出す、決算前の変化の洗い出しは決算前に、去年と今年で変わったところだけ洗い出すへ。このサイトの制度改正カレンダーは、一覧の「確認先」の1つとして使えます。