連結パッケージの提出状況を、子会社ごとの「到着・差戻し・確定」の進捗表にする
子会社から届く連結パッケージのメール・共有フォルダの記録から、子会社ごとに「未着・到着・差戻し中・再提出・確定」の状態と日付を一覧にし、期限を過ぎて未着の会社と差戻しのまま止まっている会社をAIに出させる方法です。整理と抽出はAI、差戻しの要否と確定は連結担当、期限の変更は責任者。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のIT企業、サンライズソリューションズ株式会社。子会社が8社あり、四半期ごとに連結パッケージを集めます。中身の確認は前回との差分で進めていますが、その前の段階で止まります。
- 「どこがまだ出していないか」を、メールを遡って確かめている。共有フォルダに置く会社と、メールで送ってくる会社がある。
- 差し戻したあと、再提出が来たかどうかを覚えていない。差戻しのメールを探して、その返信を探す。
- 「確定」がどの時点か、人によって違う。届いた時点で確定と思う人と、確認が済んで確定と思う人。
- 期限を過ぎた会社への催促が、思い出したときになる。2日遅れに気づくのが3日目。
パッケージの中身は差分確認の話。この記事でやるのは、子会社ごとの提出の状態を1つの表にして、遅れと止まりを毎朝見られるようにすることです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) 状態を5つに決める … 未着/到着(未確認)/差戻し中/再提出(未確認)/確定(確認済み)。「確定」は連結担当が確認を終えた時点。
(b) 提出期限(子会社ごと)と、メール・共有フォルダの到着・差戻し・再提出の日付を集める … 人。
(c) 子会社ごとに現在の状態と日付を一覧にし、期限超過で未着・差戻しのまま一定日数止まっている会社を出す … AI。
(d) 差戻しの要否と、確定の判断 … 連結担当。
(e) 期限の変更、催促の連絡 … 責任者・担当。
パッケージの中身を見て、差し戻すか・確定するかを決めること。状態の表は「届いたか」を示すだけで、中身がよいかは示しません。確定は連結担当が確認を終えて付けます。それから、パッケージの中身(数値)はAIに渡しません。渡すのは会社名の記号・日付・状態だけ。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 到着・差戻し・再提出の日付の一覧から、子会社ごとの現在の状態を出す
- 期限を過ぎて未着の会社、差戻しのまま止まっている会社の一覧
- 提出の遅れを、前回・前々回の記録と並べる(同じ会社が続けて遅れているか)
- 催促の連絡文の下書き
- 差戻しの要否(中身の確認)
- 確定(確認済み)の判断
- 期限の変更と、催促するかどうか
- 続けて遅れる会社への対応(理由を聞く)
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 日付の一覧だけ
子会社は記号(S1〜S8)。期限、到着日、差戻し日、再提出日、確定日を、分かる範囲で一覧にします。パッケージの数値は渡しません。
往復1回目 ― AIが「到着」を「確定」にした
①でS3が「確定」になっていた。記録を見ると、S3は到着日だけあり、確定日はない。AIは「到着後に差戻しがないため確定とみなしました」と注記していた。
「差戻しがない」は「確認が済んだ」ではありません。まだ見ていないだけです。確定は確認を終えた時点で人が付ける、と決めたのに、AIが推定で埋めました。禁止事項に書いていてもこうなります。
「確定日の記録がない会社は『到着(未確認)』にしてください。みなしで状態を進めないでください。」
S3は「到着(未確認)」。①は未着2社(S5・S7)、到着(未確認)3社、差戻し中1社(S2)、確定2社。②は期限超過の未着がS7、差戻し中で止まっているのがS2。
S2の差戻しは、こちらの指摘メールに担当者の返信がなかったもの。電話で聞くと、指摘の意味が伝わっていませんでした。差戻しの文面を直して再送。表がなければ、S2が止まっていることに月末まで気づかなかったかもしれません。
往復2回目 ― 「続けて遅れる会社」
③でS7が「3回連続で期限超過」。付記に「S7は提出体制に問題がある可能性が高く、親会社からの指導を検討すべきです」とあった。
3回連続の事実は重要。「体制に問題」「指導を検討」は理由の推測と対応の判断で、S7の決算日が他社と違って期限がそもそも厳しい、という理由かもしれません。
「理由と対応の記述を削除し、③は表だけにしてください。」
表だけになった。
S7の経理担当に聞くと、S7は月次の締めが親会社より3日遅く、期限が物理的に間に合わないとのこと。責任者と相談して、S7だけ期限を2営業日後ろにし、その代わり主要科目の速報を先に出してもらうことにしました。決めたのは責任者。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- 共有フォルダに置かれただけで、連絡がない … フォルダの更新日を到着日にします。「置いたら1行連絡」を子会社に頼みます。
- 一部だけ先に届く(BSだけ、注記は後日) … 状態を「一部到着」にせず、パッケージの区分ごとに行を分けます。
- 差戻しが2回以上になる … 差戻しの回数を列に足します。2回以上は差戻しの文面の問題かもしれません。
- AIがまた状態をみなしで進める、理由を推測する … 削除。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- 8社すべてに状態と日付があるか。空欄の会社がないか。
- 「確定」の会社すべてに、連結担当の確認済みの記録があるか。
- 期限超過に、翌営業日までに気づいているか。3日目に気づいていないか。
- 表に、AIのみなしや理由の推測が混ざっていないか。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 「どこがまだか」が、メールを遡らずに1つの表で分かります。
- 差戻しのまま止まっている会社に、翌営業日に気づけます。
- 続けて遅れる会社の理由が聞かれ、期限の側を直す判断ができます。
- 3回分の記録が、次の期の「期限の妥当性」を見直す元になります。
- 直近の決算で、子会社ごとの到着日と確定日を紙に書き出す
- 書けない会社があれば、その会社の記録がどこにあるかを探す
- 到着から確定までの日数が一番長い会社が、次に手を入れるところ
応用 ― 難易度を上げる場合
届いたあとの中身の確認は子会社から来た連結パッケージの「前回と違うところ」だけ確認する、在外子会社の決算日・レートは在外子会社の換算に使うレートと決算日を、子会社ごとの一覧にして毎期確かめるへ。提出が遅い相手への頼み方は提出が遅い相手に、角を立てずに出してもらうとき。