取引先マスタの登録番号の確認状況を、「未確認・確認済み・番号なし」の一覧にして、支払前の確認漏れを減らす
取引先マスタに入れている登録番号について、「番号が入っているか」「いつ・誰が公表サイトで確認したか」「番号のない取引先か」を一覧にし、直近の支払先のうち確認の記録がない先と、確認日が古い先をAIに出させる方法です。整理と抽出はAI、番号の確認は担当者が国税庁の公表サイトで、番号のない取引先の扱いは税理士と原文で確認。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。取引先マスタには登録番号の欄があり、取引を始めるときに入れることになっています。仕訳の税区分は一括チェックで見ています。マスタの側で、こうなっています。
- 番号の欄が空欄の取引先が、どのくらいあるか分からない。番号のない取引先なのか、入れ忘れなのか、区別がつかない。
- 番号は入っているが、誰がいつ公表サイトで確認したかの記録がない。請求書に書いてあった番号をそのまま入れただけかもしれない。
- 支払のときに「この取引先、番号確認した?」が毎回起きる。担当者が変わると、また聞く。
- 取引先の側で番号の状況が変わっても、こちらは気づかない。
番号の要否や扱いは税理士と原文の話。この記事でやるのは、マスタの番号の「確認の記録」を整えて、支払前に「確認済みか」が一覧で分かるようにすることです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) マスタに、番号の欄のほかに「確認日」「確認者(職位)」「確認結果(確認済み・番号なし・要確認)」の3列を足す … 人(システムかExcelで)。
(b) 直近12か月の支払先の一覧(取引先記号/支払回数)と、マスタの番号関係の列を集める … 人。
(c) 突き合わせて、①支払があるのに確認結果が空欄、②確認日が1年以上前、③番号は入っているが確認日が空欄、を支払回数の多い順に出す … AI。
(d) ①③の取引先を、担当者が国税庁の公表サイトで確認し、確認日と結果を書く … 人。
(e) 「番号なし」の取引先の扱いは、税理士と原文で確認して社内の決まりにする … 責任者と税理士。
番号の確認そのもの。AIに番号を渡して「有効か」と聞いても、答えは根拠になりません。確認は担当者が国税庁の公表サイトで、番号を1つずつ。それから、登録番号と取引先名はAIに渡しません。渡すのは取引先の記号と、番号の「あり・なし」と確認日と結果だけ。番号のない取引先の扱い(税区分・経過的な扱い)は税理士と原文で。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 支払先の一覧とマスタの確認状況を突き合わせ、確認の記録がない先・古い先を支払回数の順に出す
- 「番号あり・確認日なし」など、状態の組み合わせごとの件数
- 月次で確認状況を見る手順と、記録の書式
- 新規取引先の登録時に確認を組み込むためのチェック項目(記録の型として)
- 番号の確認(担当者が公表サイトで)
- 「番号なし」の取引先の扱い(税理士と原文で確認し、責任者が社内の決まりに)
- 確認の頻度(責任者)
- マスタの列の追加(システム担当)
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 記号と状態だけ
取引先は記号。番号は「あり・なし」だけで、番号そのものは渡しません。確認日・確認者の職位・確認結果と、直近12か月の支払回数。
往復1回目 ― AIが「扱い」を書いた
①で確認結果が空欄の支払先が74件。表の下に「番号のない取引先への支払は税額控除に影響するため、優先的に確認してください」と付いていた。
74件は見たかったもの。「税額控除に影響」は制度の内容で、この記事の範囲外です。しかも、影響の有無や程度は税理士と原文で確かめることで、AIの一文は根拠になりません。禁止事項に書いていてもこうなります。
「制度の内容や影響に関する記述を削除し、①は表だけにしてください。」
①は74件(支払回数の上位20件で支払の半分以上)。②は番号あり・確認日なしが210件。③は確認日が1年以上前が45件。④は組み合わせ6通りの件数。
①の上位20件から、担当者が公表サイトで1件ずつ確認し、確認日と結果を書きます。「番号なし」だった取引先は3件。その扱いは、責任者が税理士に確認して社内の決まりにします。
往復2回目 ― 210件の「番号あり・確認日なし」
②の210件について、「番号が入力されていれば確認済みとみなして問題ありません」と付いていた。
「入力されていれば確認済み」は、まさにこの会社で起きていた問題です。請求書の番号を写しただけで、公表サイトで確かめていない。「みなして問題ない」は、確認を軽くする記述です。
「『みなして問題ない』の記述を削除し、②を支払回数の多い順に並べ替えてください。」
210件が支払回数の順になった。支払のない取引先が130件(休眠先)。
責任者と決めたのは、支払のある80件を3か月で確認し、休眠の130件は次に支払が発生したときに確認する。新規登録のときは確認日と確認者を必須にする。頻度は年1回。決めたのは責任者。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- マスタに確認日の列が足せない(システムの制約) … Excelで別管理し、取引先記号で紐づけます。列が足せるまでの間。
- 取引先が個人で、番号の扱いが分からない … 税理士に聞きます。一覧では「要確認」にして、確認結果に税理士の回答日を書きます。
- 公表サイトで番号が見つからない … 取引先に聞きます。番号の書き間違いか、取引先の側の事情か、こちらでは分かりません。
- AIがまた制度の内容や「みなし」を書く … 削除。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- 直近12か月に支払のある取引先すべてに、確認日・確認者・確認結果があるか。
- 「番号なし」の取引先の扱いに、税理士の確認の記録があるか。
- 新規の取引先が、確認日なしでマスタに登録されていないか。
- 一覧に、AIの制度の説明や「みなし」が混ざっていないか。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 「この取引先、確認した?」に、一覧の確認日で答えられます。
- 支払の多い取引先から順に、確認の記録が揃います。
- 「番号なし」の取引先の扱いが、税理士の確認つきで社内の決まりになります。
- 新規登録のときに確認が組み込まれ、未確認が増えなくなります。
- 今週支払う取引先を3つ選び、マスタの番号の欄と、確認した記録があるかを見る
- 記録がなければ、公表サイトで1件確認し、確認日と自分の職位を書く
- それが確認の記録の最初の1行
応用 ― 難易度を上げる場合
仕訳の税区分は仕訳データの消費税区分を一括チェックする、申告の集計資料は消費税申告の集計資料を、前年の資料と同じ形に揃えて税理士に渡すへ。マスタの変更の記録は経理システムのマスタ(取引先・科目・部門)の変更を、月次で「誰が・何を・なぜ」の一覧にする。