税務 › 消費税・インボイス活用案

取引先マスタの登録番号の確認状況を、「未確認・確認済み・番号なし」の一覧にして、支払前の確認漏れを減らす

取引先マスタに入れている登録番号について、「番号が入っているか」「いつ・誰が公表サイトで確認したか」「番号のない取引先か」を一覧にし、直近の支払先のうち確認の記録がない先と、確認日が古い先をAIに出させる方法です。整理と抽出はAI、番号の確認は担当者が国税庁の公表サイトで、番号のない取引先の扱いは税理士と原文で確認。

AI操作難易度★☆☆☆☆ 経理財務 実務難易度★★☆☆☆ 使う道具チャット型AI+Excel

1. Before ― 手元はどうなっているか

架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。取引先マスタには登録番号の欄があり、取引を始めるときに入れることになっています。仕訳の税区分は一括チェックで見ています。マスタの側で、こうなっています。

  • 番号の欄が空欄の取引先が、どのくらいあるか分からない。番号のない取引先なのか、入れ忘れなのか、区別がつかない。
  • 番号は入っているが、誰がいつ公表サイトで確認したかの記録がない。請求書に書いてあった番号をそのまま入れただけかもしれない。
  • 支払のときに「この取引先、番号確認した?」が毎回起きる。担当者が変わると、また聞く。
  • 取引先の側で番号の状況が変わっても、こちらは気づかない。

番号の要否や扱いは税理士と原文の話。この記事でやるのは、マスタの番号の「確認の記録」を整えて、支払前に「確認済みか」が一覧で分かるようにすることです。

2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか

(a) マスタに、番号の欄のほかに「確認日」「確認者(職位)」「確認結果(確認済み・番号なし・要確認)」の3列を足す … 人(システムかExcelで)。
(b) 直近12か月の支払先の一覧(取引先記号/支払回数)と、マスタの番号関係の列を集める … 人。
(c) 突き合わせて、①支払があるのに確認結果が空欄、②確認日が1年以上前、③番号は入っているが確認日が空欄、を支払回数の多い順に出す … AI。
(d) ①③の取引先を、担当者が国税庁の公表サイトで確認し、確認日と結果を書く … 人。
(e) 「番号なし」の取引先の扱いは、税理士と原文で確認して社内の決まりにする … 責任者と税理士。

ここはAIを使わない

番号の確認そのもの。AIに番号を渡して「有効か」と聞いても、答えは根拠になりません。確認は担当者が国税庁の公表サイトで、番号を1つずつ。それから、登録番号と取引先名はAIに渡しません。渡すのは取引先の記号と、番号の「あり・なし」と確認日と結果だけ。番号のない取引先の扱い(税区分・経過的な扱い)は税理士と原文で。

3. AIに任せること/人が判断すること

AIに任せる
  • 支払先の一覧とマスタの確認状況を突き合わせ、確認の記録がない先・古い先を支払回数の順に出す
  • 「番号あり・確認日なし」など、状態の組み合わせごとの件数
  • 月次で確認状況を見る手順と、記録の書式
  • 新規取引先の登録時に確認を組み込むためのチェック項目(記録の型として)
人が判断する
  • 番号の確認(担当者が公表サイトで)
  • 「番号なし」の取引先の扱い(税理士と原文で確認し、責任者が社内の決まりに)
  • 確認の頻度(責任者)
  • マスタの列の追加(システム担当)

4. 実行 ― AIとのやりとり

準備 ― 記号と状態だけ

取引先は記号。番号は「あり・なし」だけで、番号そのものは渡しません。確認日・確認者の職位・確認結果と、直近12か月の支払回数。

用語:チャット型AIだけで完結する使い方です。渡すのは取引先の記号と番号の「あり・なし」、確認日、支払回数だけで、番号そのものと取引先名は渡しません。用語集
最初にAIへ出す指示(そのまま貼って使えます)【場面と読み手】 私は経理担当です。取引先マスタの登録番号の確認状況を一覧にして、確認の記録がない取引先を支払回数の多い順に見つけたいと考えています。読み手は私と経理責任者です。 【事実/入力】 ・以下に、取引先マスタの番号関係の列(取引先記号/番号あり・なし/確認日/確認者の職位/確認結果(確認済み・番号なし・要確認・空欄))を貼ります(約600件) ・以下に、直近12か月の支払先の一覧(取引先記号/支払回数)を貼ります(約280件) ・今日は9月16日です ・番号の確認は私が公表サイトで行い、番号のない取引先の扱いは税理士に確認します 【依頼】 ①支払がある取引先のうち、確認結果が空欄のものを、支払回数の多い順に出してください ②番号が「あり」なのに確認日が空欄の取引先を出してください ③確認日が1年以上前の取引先を、支払回数の多い順に出してください ④番号あり・なし×確認結果の組み合わせごとの件数の表を作ってください 【出力の型】 ①②③:表:取引先記号/番号あり・なし/確認日/確認結果/支払回数 ④:表:番号/確認結果/件数 【禁止事項】 ・番号の要否、番号のない取引先の税区分や扱いについて書かないでください ・番号が有効かどうかを判定しないでください ・貼っていない取引先を足さないでください

往復1回目 ― AIが「扱い」を書いた

AIの初稿

①で確認結果が空欄の支払先が74件。表の下に「番号のない取引先への支払は税額控除に影響するため、優先的に確認してください」と付いていた。

ここが問題

74件は見たかったもの。「税額控除に影響」は制度の内容で、この記事の範囲外です。しかも、影響の有無や程度は税理士と原文で確かめることで、AIの一文は根拠になりません。禁止事項に書いていてもこうなります。

追加で出した指示

「制度の内容や影響に関する記述を削除し、①は表だけにしてください。」

修正版

①は74件(支払回数の上位20件で支払の半分以上)。②は番号あり・確認日なしが210件。③は確認日が1年以上前が45件。④は組み合わせ6通りの件数。

人が最後にやること

①の上位20件から、担当者が公表サイトで1件ずつ確認し、確認日と結果を書きます。「番号なし」だった取引先は3件。その扱いは、責任者が税理士に確認して社内の決まりにします。

往復2回目 ― 210件の「番号あり・確認日なし」

AIの初稿

②の210件について、「番号が入力されていれば確認済みとみなして問題ありません」と付いていた。

ここが問題

「入力されていれば確認済み」は、まさにこの会社で起きていた問題です。請求書の番号を写しただけで、公表サイトで確かめていない。「みなして問題ない」は、確認を軽くする記述です。

追加で出した指示

「『みなして問題ない』の記述を削除し、②を支払回数の多い順に並べ替えてください。」

修正版

210件が支払回数の順になった。支払のない取引先が130件(休眠先)。

人が最後にやること

責任者と決めたのは、支払のある80件を3か月で確認し、休眠の130件は次に支払が発生したときに確認する。新規登録のときは確認日と確認者を必須にする。頻度は年1回。決めたのは責任者。

5. エラーと例外 ― うまくいかないとき

  • マスタに確認日の列が足せない(システムの制約) … Excelで別管理し、取引先記号で紐づけます。列が足せるまでの間。
  • 取引先が個人で、番号の扱いが分からない … 税理士に聞きます。一覧では「要確認」にして、確認結果に税理士の回答日を書きます。
  • 公表サイトで番号が見つからない … 取引先に聞きます。番号の書き間違いか、取引先の側の事情か、こちらでは分かりません。
  • AIがまた制度の内容や「みなし」を書く … 削除。毎回。

6. 検証 ― 正しいとどう言えるか

  1. 直近12か月に支払のある取引先すべてに、確認日・確認者・確認結果があるか。
  2. 「番号なし」の取引先の扱いに、税理士の確認の記録があるか。
  3. 新規の取引先が、確認日なしでマスタに登録されていないか。
  4. 一覧に、AIの制度の説明や「みなし」が混ざっていないか。

7. 注意点

登録番号と取引先名はAIに渡しません。渡すのは記号と「あり・なし」と確認日だけ。社内ルールで確認してください。
番号の確認は人が公表サイトで。AIに番号の有効性を聞いても根拠になりません。制度の内容(要否・扱い・記載事項)は税理士と国税庁の公表資料の原文で。
「番号が入っている」は「確認済み」ではありません。確認日と確認者があって確認済み。この活用例の設例は架空です。

8. After ― 翌月以降、何が変わるか

  • 「この取引先、確認した?」に、一覧の確認日で答えられます。
  • 支払の多い取引先から順に、確認の記録が揃います。
  • 「番号なし」の取引先の扱いが、税理士の確認つきで社内の決まりになります。
  • 新規登録のときに確認が組み込まれ、未確認が増えなくなります。
明日の仕事で試すこと
  • 今週支払う取引先を3つ選び、マスタの番号の欄と、確認した記録があるかを見る
  • 記録がなければ、公表サイトで1件確認し、確認日と自分の職位を書く
  • それが確認の記録の最初の1行

応用 ― 難易度を上げる場合

仕訳の税区分は仕訳データの消費税区分を一括チェックする、申告の集計資料は消費税申告の集計資料を、前年の資料と同じ形に揃えて税理士に渡すへ。マスタの変更の記録は経理システムのマスタ(取引先・科目・部門)の変更を、月次で「誰が・何を・なぜ」の一覧にする。