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AIが作った表を使う前に、元データと「件数・合計・抜き取り」の3点で確かめる手順を型にする

AIに集計・並べ替え・突合をさせた表を報告や仕訳に使う前に、「件数が元データと同じか」「合計が元データと同じか」「人が選んだ3行が元データと一致するか」の3点を、必ず人がExcelで確かめる手順を型にする方法です。照合の型と照合用の式はAI、照合の実行と抜き取りの選択は人、使ってよいかの判断は担当者と上司。

AI操作難易度★☆☆☆☆ 経理財務 実務難易度★★☆☆☆ 使う道具チャット型AI+Excel

1. Before ― 手元はどうなっているか

架空のIT企業、サンライズソリューションズ株式会社。経理では、明細の並べ替え、部門別の集計、2つの一覧の突合など、表を作る作業にチャット型AIを使い始めています。便利なのですが、こういうことが起きました。

  • 部門別に集計させた表の合計が、元の明細の合計と違っていた。AIが1行を読み飛ばしていた。報告に貼ったあとで気づいた。
  • 突合の結果表で、「一致」とされた行の金額が、実は1桁違っていた。誰も元データを見ていなかった。
  • 「AIが作ったから確認した」ことになっていた。誰が何を確かめたか、記録がない(確認メモ)。
  • 確認しようにも、「何を確かめれば十分か」が人によって違う。全行を見る人もいれば、見た目だけの人もいる。

AIの表を使うのをやめる話ではありません。この記事でやるのは、AIが作った表を使う前に人が確かめる3点を型にして、毎回同じように確かめることです。

2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか

(a) 確かめる3点を決める … ①件数(元データの行数と表の行数)、②合計(元データの金額合計と表の金額合計)、③抜き取り(人が選んだ3行を元データで探し、金額・相手・日付が同じか)。
(b) 3点を確かめるためのExcelの式(行数のCOUNTA、合計のSUM、抜き取り用のXLOOKUPなど)と、記録の型を作る … AI。
(c) 3点を実行し、記録に書く … 人。式に元データと表を入れて、結果を見る。
(d) 3点のどれかが合わなければ、その表は使わない。合うまで直すか、手で作り直す … 人。
(e) 3点が合っても、表の「意味」(区分の仕方や並べ方が目的に合っているか)は担当者が見る … 人。

ここはAIを使わない

照合の実行そのもの。AIが作った表を、そのAIに「元データと合っているか確かめて」と頼んでも、確かめたことになりません。同じ読み飛ばしを繰り返すか、「確認しました」と書くだけです。3点はExcelで、人の手で。それから、抜き取りの3行は人が選びます。AIに選ばせると、AIが正しく処理した行だけを選ぶかもしれません。使ってよいかの判断は担当者と上司。AIに任せるのは、型と式と記録の書式まで。

3. AIに任せること/人が判断すること

AIに任せる
  • 3点照合の手順書(誰でも同じ順で確かめられる書式)
  • 件数・合計・抜き取りを確かめるExcelの式の例
  • 照合の記録の型(表の名前/元データ/3点の結果/確かめた人/日付)
  • 3点が合わなかったときの「よくある原因」の一覧(読み飛ばし・重複・単位のずれなど)
人が判断する
  • 3点照合の実行(Excelで、元データと表を見て)
  • 抜き取る3行の選択
  • 表を使ってよいかの判断(担当者と上司)
  • 表の意味(区分・並べ方)が目的に合っているか

4. 実行 ― AIとのやりとり

準備 ― 元データと表の「形」だけ

AIに渡すのは、元データと表の列の名前と行数だけ。金額・相手先などの中身は渡しません。式と手順書を作るのに中身は要りません。

用語:チャット型AIだけで完結する使い方です。渡すのは列の名前と行数だけで、明細の中身は渡しません。用語集
最初にAIへ出す指示(そのまま貼って使えます)【場面と読み手】 私は経理担当です。AIに作らせた集計表や突合表を報告に使う前に、元データと合っているかを人が確かめる手順を型にしたいと考えています。読み手は経理部門の全員です。 【事実/入力】 ・元データの列:日付/相手先コード/部門コード/金額/摘要(行数は毎回異なり、数百行) ・AIが作る表の例:部門コード別の件数と金額の集計表、2つの一覧を相手先コードで突き合わせた結果表 ・確かめる3点は、①件数、②合計、③人が選んだ3行の抜き取り、と決めています ・照合はExcelで人が行い、表を使ってよいかは担当者と上司が決めます 【依頼】 ①3点を確かめる手順書を、順番どおりに書いてください ②各点を確かめるExcelの式の例を、元データが「元」シート、表が「表」シートにある前提で書いてください ③照合の記録の型(1行で書ける書式)を作ってください ④3点が合わないときに考えられる原因を、集計表と突合表に分けて書いてください 【出力の型】 ①:番号つきの手順(各1〜2行) ②:式と、その式が何を確かめるかの1行説明 ③:記録の1行の例(値は架空と明記) ④:表:表の種類/合わない点/考えられる原因 【禁止事項】 ・「AIが確認した」「AIの出力は正確」という趣旨の記述を入れないでください ・抜き取る行をAIが選ぶ手順にしないでください ・照合を省略してよい場合を書かないでください

往復1回目 ― AIが「自分で確認した」ことにした

AIの初稿

手順書の最後に「なお、AIが出力する表は元データから機械的に生成されるため、通常は件数・合計とも一致します。3点照合は念のための確認です」と付いていた。

ここが問題

手順と式は使えるものでした。「通常は一致する」「念のため」は、照合を軽くする方向の記述で、この会社ではまさに一致しなかったことが起きています。禁止事項に書いていてもこうなります。

追加で出した指示

「『通常は一致する』『念のため』の記述を削除し、3点照合は省略しない旨を手順書の先頭に1行で書いてください。」

修正版

先頭に「3点のどれかが合わない表は使わない」の1行。手順は、①元と表の行数をCOUNTAで比べる、②金額をSUMで比べる、③人が3行を選び、XLOOKUPで元を引いて金額・相手・日付を比べる、の順。

人が最後にやること

手順書を上司と読み、「集計表は①の件数を『元の行数=表の件数の合計』と読み替える」を追記します。集計表は行数が減るので、そのままでは①が使えません。この読み替えは、AIの手順にはありませんでした。

往復2回目 ― 抜き取りの「選び方」

AIの初稿

③の抜き取りについて、「金額の大きい上位3行を選ぶと効率的です」と手順に書かれていた。

ここが問題

上位3行は目立つので、AIも読み飛ばしにくい行です。読み飛ばしは中ほどの小さな行で起きます。「効率的」な選び方は、確かめたいことを外します。

追加で出した指示

「選び方の推奨を削除し、『人が任意に3行を選ぶ。大きい行に偏らせない』とだけ書いてください。」

修正版

そのとおりになった。記録の型は「表の名前/元データ(ファイル名・抽出日)/①件数 一致・不一致/②合計 一致・不一致/③抜き取り3行 一致・不一致/確かめた人(職位)/日付」の1行。

人が最後にやること

この型で、先週の部門別集計表を確かめます。①で元が412行、表の件数合計が411。1行足りない。原因を追うと、部門コードが空欄の1行をAIが落としていました。表は作り直し。記録には「不一致→作り直し」と残します。

5. エラーと例外 ― うまくいかないとき

  • 元データが複数のファイルにまたがる … 先に1つのシートに集めてから3点を確かめます。集める作業も人。
  • 合計が1円だけ違う … 丸めか、単位のずれ。「1円だからよい」とせず、原因が分かるまで使いません。
  • 突合表で「一致」の行が多すぎて抜き取り3行では足りない気がする … 3行は最低限。不安なら増やします。減らす方向にはしません。
  • 急いでいて3点をやる時間がない … 3点は5分。5分がない表は、報告に載せる時間もないはずです。
  • AIがまた「通常は一致する」と書く … 削除。毎回。

6. 検証 ― 正しいとどう言えるか

  1. AIが作った表を使うとき、3点照合の記録が必ず残っているか。記録のない表が報告に載っていないか。
  2. 3点のどれかが合わなかった表が、使われていないか。「不一致だが使った」がないか。
  3. 抜き取りの3行が、人によって選ばれているか。毎回同じ行、上位の行に偏っていないか。
  4. 手順書に、照合を軽くする記述が混ざっていないか。

7. 注意点

照合をAIにやらせません。AIが作った表をAIに確かめさせても、確かめたことになりません。3点は人がExcelで。社内ルールで確認してください。
3点が合っても、表の意味が合っているかは別です。区分の仕方や並べ方が目的に合うかは、担当者が見ます。
手順書とは別に、確認の記録を残します。誰が何を確かめたかは確認メモで。この活用例の設例は架空です。

8. After ― 翌月以降、何が変わるか

  • AIが作った表を使う前の確認が、人によらず同じ3点になります。
  • 読み飛ばし・重複が、報告の前に見つかります。
  • 「AIが作ったから確認した」ではなく、「誰が3点を確かめた」が記録に残ります。
  • 3点が合わなかった表の記録が、AIに渡す指示の直し方の元になります。
明日の仕事で試すこと
  • 最近AIに作らせた表を1つ開き、元データの行数と表の件数を比べる
  • 合計を比べる
  • 自分で3行選んで、元データを引く。1つでも合わなければ、その表はまだ使えない

応用 ― 難易度を上げる場合

確認の記録はAIに手伝わせた作業を、誰が何を確認したかを残す、AIに何を渡したかの記録はAIに何を渡したかの記録を、作業ごとに残すへ。渡す前の置き換えはAIに渡す前の置き換え(記号化・丸め・削除)を、資料の種類ごとの手順にする。