資金繰り・財務 › 銀行取引・残高管理活用案

取引銀行ごとの条件(口座・手数料・借入枠・担保・更新日)を1つの一覧にして、更新日を追う

取引銀行ごとに散らばっている契約書・通知書・担当者のメモから、「口座の種類/振込手数料の条件/借入枠と期限/担保と保証/担当者/次の更新日」を1つの一覧にし、更新日が近いもの・条件が書面で確認できないもの・銀行の間で条件が違うものをAIに出させる方法です。整理と抽出はAI、条件の確認は原本と銀行、交渉と選択は財務責任者。

AI操作難易度★☆☆☆☆ 経理財務 実務難易度★★☆☆☆ 使う道具チャット型AI+Excel

1. Before ― 手元はどうなっているか

架空のIT企業、サンライズソリューションズ株式会社。取引銀行は4行。借入は借入金の一覧で管理していますが、銀行との「取引そのもの」の条件は、こうなっています。

  • 借入枠の更新の連絡が銀行から来て、初めて期限を知った。更新の条件を考える時間がない。
  • 振込手数料の条件が銀行ごとに違うが、どこがどうだったか、担当者のメモにしかない。担当者が休むと分からない。
  • 担保に入れている定期預金が、どの借入の担保なのか、書面を探さないと分からない。
  • 銀行の担当者が変わったのに、こちらの一覧は前の人のまま。

銀行との交渉は責任者の話。この記事でやるのは、銀行ごとの条件を1つの一覧にして、更新日と書面のない条件を先に見えるようにすることです。

2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか

(a) 一覧の型を決める … 銀行/支店/口座の種類と用途/振込手数料の条件(書面の名前)/借入枠と期限/担保・保証(何を・どの借入に)/銀行の担当者(部署・役職)/次の更新日/条件の根拠(書面の名前と所在)。
(b) 契約書・通知書・担当者のメモから、分かる範囲で埋める … 人。
(c) 埋めた一覧から、①更新日が3か月以内、②根拠の書面が空欄の条件、③銀行の間で同じ種類の条件が違うもの、を出す … AI。
(d) ②は銀行に書面をもらうか、原本を探す。①は責任者が更新の方針を決める … 人。
(e) 四半期ごとに(c)を回し、担当者の変更と更新日を直す … 財務担当。

ここはAIを使わない

条件の確認、更新の交渉、どの銀行を使うかの選択。一覧は「今の条件はこう」を並べるだけで、条件が有利か不利か、更新をどうするかは責任者が銀行と話して決めます。それから、口座番号・借入の金額・金利の値はAIに渡しません。渡すのは銀行の記号、条件の種類、日付、書面の名前だけ。金額と金利は一覧の側に人が書きます。

3. AIに任せること/人が判断すること

AIに任せる
  • 一覧の型(銀行ごとに同じ列で並ぶ書式)
  • 更新日が3か月以内の条件、根拠の書面が空欄の条件の抽出
  • 銀行の間で同じ種類の条件が違う箇所の一覧(値は人が入れる)
  • 四半期の確認の手順(何を見て、何を直すか)
人が判断する
  • 条件の確認(原本と銀行)
  • 更新の方針と交渉(財務責任者)
  • 銀行の選択と、口座の統廃合(責任者)
  • 担当者の変更の反映

4. 実行 ― AIとのやりとり

準備 ― 条件の種類と日付だけ

銀行は記号(B1〜B4)。条件は「種類」と「根拠の書面の名前」と「更新日」だけを渡し、金額・金利・口座番号は渡しません。

用語:チャット型AIだけで完結する使い方です。渡すのは銀行の記号・条件の種類・日付・書面の名前だけで、金額・金利・口座番号は渡しません。用語集
最初にAIへ出す指示(そのまま貼って使えます)【場面と読み手】 私は財務担当です。取引銀行4行との取引条件を1つの一覧にして、更新日が近いものと、書面で確認できていない条件を見つけたいと考えています。読み手は私と財務責任者です。 【事実/入力】 ・以下に、銀行(B1〜B4)ごとに集めた条件の一覧(銀行/条件の種類/根拠の書面の名前(空欄あり)/更新日(空欄あり)/担当者の部署・役職)を貼ります(約35行。金額・金利は含みません) ・今日は9月16日です ・条件の確認と更新の方針は、財務責任者が銀行と決めます 【依頼】 ①更新日が今日から3か月以内の条件を、日付順に出してください ②根拠の書面の名前が空欄の条件を、銀行ごとに出してください ③条件の種類ごとに、4行のうちどの銀行にあってどの銀行にないかの表を作ってください ④四半期ごとに一覧を確かめる手順を、5項目以内で書いてください 【出力の型】 ①:表:更新日/銀行/条件の種類/担当者の部署 ②:表:銀行/条件の種類/今の根拠(メモ・口頭・不明) ③:表:条件の種類/B1/B2/B3/B4(あり・なし・不明) ④:番号つきの手順 【禁止事項】 ・どの銀行の条件が有利か・不利かを書かないでください ・更新や交渉の方針を提案しないでください ・貼っていない条件を、一般的な銀行取引の知識で足さないでください

往復1回目 ― AIが「一般的な条件」を足した

AIの初稿

③の表に、貼っていない「当座貸越」「外貨預金」の行が「不明」として追加され、注記に「一般的な取引条件として確認を推奨」とあった。

ここが問題

この会社に当座貸越はありません。一般的な知識で足した行が「不明」と並ぶと、責任者が「確認していないのか」と受け取ります。禁止事項に書いていてもこうなります。

追加で出した指示

「貼った一覧にない条件の種類を削除し、③は一覧にある種類だけにしてください。」

修正版

①は3か月以内の更新が2件(B2の借入枠、B4の振込手数料の優遇)。②は書面が空欄の条件が6件。③は7種類×4行。④は手順5項目。

人が最後にやること

①のB2の借入枠は更新日の2か月前で、責任者が今から方針を考えられます。②の6件は、3件が銀行に書面をもらい、2件が原本を探して見つかり、1件は口頭の約束だったので銀行に書面化を頼みます。

往復2回目 ― 「銀行の間の違い」

AIの初稿

③で、振込手数料の優遇がB1とB4にあり、B2・B3にない。付記に「B2・B3にも同様の優遇を求めることで、コストを下げられる可能性があります」とあった。

ここが問題

「あり・なし」の表は見たかったもの。「求めることで下げられる」は交渉の方針で、B2は借入の主力で手数料より枠の条件を優先している、という責任者の判断があります。

追加で出した指示

「交渉に関する記述を削除し、③は表だけにしてください。」

修正版

表だけになった。

人が最後にやること

責任者は③を見て、B3には次の面談で手数料の条件を聞く、B2には聞かないと決めました。理由は一覧の備考に。金額と金利は、人が一覧に書き入れ、AIには渡していません。

5. エラーと例外 ― うまくいかないとき

  • 書面が銀行にもない(古い口頭の約束) … 「口頭・確認日・確認相手」を根拠に書き、書面化を頼みます。書面化できないものは、更新のときに条件を確かめ直します。
  • 担当者が頻繁に変わる … 担当者の列は「部署・役職」で持ち、個人名は別のメモに。一覧が個人名で古びません。
  • 銀行が5行以上で一覧が横に長い … 銀行ごとにシートを分け、③の「あり・なし」表だけ1枚にまとめます。
  • AIがまた一般論や交渉の方針を書く … 削除。毎回。

6. 検証 ― 正しいとどう言えるか

  1. 一覧のすべての条件に、根拠の書面の名前と所在があるか。「口頭」の条件に確認日と相手があるか。
  2. 更新日の3か月前に、責任者が方針を決める時間があったか。銀行からの連絡で初めて知る、がなくなったか。
  3. 担当者の変更が、変わった月のうちに一覧に反映されているか。
  4. 一覧に、AIの一般論や交渉の方針が混ざっていないか。

7. 注意点

口座番号・金額・金利の値はAIに渡しません。渡すのは銀行の記号・条件の種類・日付・書面の名前だけ。社内ルールで確認してください。
条件の有利・不利と交渉の方針は、AIが書きません。財務責任者が銀行と決め、理由を一覧の備考に残します。
一覧は原本の代わりではありません。条件を使うときは根拠の書面を開きます。この活用例の設例は架空です。

8. After ― 翌月以降、何が変わるか

  • 更新日が、銀行からの連絡ではなく一覧で3か月前に見えます。
  • 手数料や担保の条件が、担当者のメモではなく一覧と書面で分かります。
  • 銀行の間の「あり・なし」が見え、責任者が聞く先を選べます。
  • 一覧が、財務担当の引き継ぎ資料になります。
明日の仕事で試すこと
  • 取引銀行を1行選び、借入枠の更新日を、書面を見ずに言えるか試す
  • 言えなければ、書面がどこにあるかを探す
  • 探すのに5分以上かかったら、それが一覧を作る理由

応用 ― 難易度を上げる場合

借入そのものの一覧は借入金の一覧(返済日・金利・担保・条項)を契約書から作り、返済予定表と帳簿残高を突き合わせる、財務制限条項は借入契約の財務制限条項を、決算前に確認するへ。毎朝の残高は複数口座の残高を、毎朝1枚にまとめて「いつもと違う」を見る。