取引銀行ごとの条件(口座・手数料・借入枠・担保・更新日)を1つの一覧にして、更新日を追う
取引銀行ごとに散らばっている契約書・通知書・担当者のメモから、「口座の種類/振込手数料の条件/借入枠と期限/担保と保証/担当者/次の更新日」を1つの一覧にし、更新日が近いもの・条件が書面で確認できないもの・銀行の間で条件が違うものをAIに出させる方法です。整理と抽出はAI、条件の確認は原本と銀行、交渉と選択は財務責任者。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のIT企業、サンライズソリューションズ株式会社。取引銀行は4行。借入は借入金の一覧で管理していますが、銀行との「取引そのもの」の条件は、こうなっています。
- 借入枠の更新の連絡が銀行から来て、初めて期限を知った。更新の条件を考える時間がない。
- 振込手数料の条件が銀行ごとに違うが、どこがどうだったか、担当者のメモにしかない。担当者が休むと分からない。
- 担保に入れている定期預金が、どの借入の担保なのか、書面を探さないと分からない。
- 銀行の担当者が変わったのに、こちらの一覧は前の人のまま。
銀行との交渉は責任者の話。この記事でやるのは、銀行ごとの条件を1つの一覧にして、更新日と書面のない条件を先に見えるようにすることです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) 一覧の型を決める … 銀行/支店/口座の種類と用途/振込手数料の条件(書面の名前)/借入枠と期限/担保・保証(何を・どの借入に)/銀行の担当者(部署・役職)/次の更新日/条件の根拠(書面の名前と所在)。
(b) 契約書・通知書・担当者のメモから、分かる範囲で埋める … 人。
(c) 埋めた一覧から、①更新日が3か月以内、②根拠の書面が空欄の条件、③銀行の間で同じ種類の条件が違うもの、を出す … AI。
(d) ②は銀行に書面をもらうか、原本を探す。①は責任者が更新の方針を決める … 人。
(e) 四半期ごとに(c)を回し、担当者の変更と更新日を直す … 財務担当。
条件の確認、更新の交渉、どの銀行を使うかの選択。一覧は「今の条件はこう」を並べるだけで、条件が有利か不利か、更新をどうするかは責任者が銀行と話して決めます。それから、口座番号・借入の金額・金利の値はAIに渡しません。渡すのは銀行の記号、条件の種類、日付、書面の名前だけ。金額と金利は一覧の側に人が書きます。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 一覧の型(銀行ごとに同じ列で並ぶ書式)
- 更新日が3か月以内の条件、根拠の書面が空欄の条件の抽出
- 銀行の間で同じ種類の条件が違う箇所の一覧(値は人が入れる)
- 四半期の確認の手順(何を見て、何を直すか)
- 条件の確認(原本と銀行)
- 更新の方針と交渉(財務責任者)
- 銀行の選択と、口座の統廃合(責任者)
- 担当者の変更の反映
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 条件の種類と日付だけ
銀行は記号(B1〜B4)。条件は「種類」と「根拠の書面の名前」と「更新日」だけを渡し、金額・金利・口座番号は渡しません。
往復1回目 ― AIが「一般的な条件」を足した
③の表に、貼っていない「当座貸越」「外貨預金」の行が「不明」として追加され、注記に「一般的な取引条件として確認を推奨」とあった。
この会社に当座貸越はありません。一般的な知識で足した行が「不明」と並ぶと、責任者が「確認していないのか」と受け取ります。禁止事項に書いていてもこうなります。
「貼った一覧にない条件の種類を削除し、③は一覧にある種類だけにしてください。」
①は3か月以内の更新が2件(B2の借入枠、B4の振込手数料の優遇)。②は書面が空欄の条件が6件。③は7種類×4行。④は手順5項目。
①のB2の借入枠は更新日の2か月前で、責任者が今から方針を考えられます。②の6件は、3件が銀行に書面をもらい、2件が原本を探して見つかり、1件は口頭の約束だったので銀行に書面化を頼みます。
往復2回目 ― 「銀行の間の違い」
③で、振込手数料の優遇がB1とB4にあり、B2・B3にない。付記に「B2・B3にも同様の優遇を求めることで、コストを下げられる可能性があります」とあった。
「あり・なし」の表は見たかったもの。「求めることで下げられる」は交渉の方針で、B2は借入の主力で手数料より枠の条件を優先している、という責任者の判断があります。
「交渉に関する記述を削除し、③は表だけにしてください。」
表だけになった。
責任者は③を見て、B3には次の面談で手数料の条件を聞く、B2には聞かないと決めました。理由は一覧の備考に。金額と金利は、人が一覧に書き入れ、AIには渡していません。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- 書面が銀行にもない(古い口頭の約束) … 「口頭・確認日・確認相手」を根拠に書き、書面化を頼みます。書面化できないものは、更新のときに条件を確かめ直します。
- 担当者が頻繁に変わる … 担当者の列は「部署・役職」で持ち、個人名は別のメモに。一覧が個人名で古びません。
- 銀行が5行以上で一覧が横に長い … 銀行ごとにシートを分け、③の「あり・なし」表だけ1枚にまとめます。
- AIがまた一般論や交渉の方針を書く … 削除。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- 一覧のすべての条件に、根拠の書面の名前と所在があるか。「口頭」の条件に確認日と相手があるか。
- 更新日の3か月前に、責任者が方針を決める時間があったか。銀行からの連絡で初めて知る、がなくなったか。
- 担当者の変更が、変わった月のうちに一覧に反映されているか。
- 一覧に、AIの一般論や交渉の方針が混ざっていないか。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 更新日が、銀行からの連絡ではなく一覧で3か月前に見えます。
- 手数料や担保の条件が、担当者のメモではなく一覧と書面で分かります。
- 銀行の間の「あり・なし」が見え、責任者が聞く先を選べます。
- 一覧が、財務担当の引き継ぎ資料になります。
- 取引銀行を1行選び、借入枠の更新日を、書面を見ずに言えるか試す
- 言えなければ、書面がどこにあるかを探す
- 探すのに5分以上かかったら、それが一覧を作る理由
応用 ― 難易度を上げる場合
借入そのものの一覧は借入金の一覧(返済日・金利・担保・条項)を契約書から作り、返済予定表と帳簿残高を突き合わせる、財務制限条項は借入契約の財務制限条項を、決算前に確認するへ。毎朝の残高は複数口座の残高を、毎朝1枚にまとめて「いつもと違う」を見る。