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借入金の一覧(返済日・金利・担保・条項)を契約書から作り、返済予定表と帳簿残高を突き合わせる

借入契約書から「借入先/金額/返済日と方法/金利の種類/担保・保証/特約」を原文のまま抜き出して一覧にし、返済予定表と帳簿の残高を突き合わせて、合わない借入と一覧にない借入をAIに出させる方法です。抜き出しと突合はAI、契約書との照合と差額の原因は人。

AI操作難易度★☆☆☆☆ 経理財務 実務難易度★★★☆☆ 使う道具チャット型AI+Excel

1. Before ― 手元はどうなっているか

架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。銀行からの借入が5本あります。証書貸付が3本、当座貸越が1本、リース会社からの借入が1本。契約書は金庫、返済予定表は財務のExcel、残高は帳簿。

  • 「借入の一覧をください」と言われて、返済予定表を渡した。金利の種類(固定・変動)、担保、特約は載っていない。
  • 返済予定表の残高と、帳簿の残高が、1本だけ合わない。繰上返済したのか、予定表の更新漏れか、帳簿の計上漏れか。
  • 当座貸越の残高が、予定表に載っていない。日々変わるので、誰も表にしていなかった。
  • 金利の見直し日(変動金利の基準日)が、契約書のどこに書いてあるか、すぐに言えない。

やりたいのは、契約書から条件を原文のまま一覧にし、返済予定表と帳簿残高と突き合わせて、合わないものを出すことです。財務制限条項の中身は別の記事で扱います。

2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか

(a) 契約書ごとに、条件を原文のまま抜き出す … 借入先/契約日/金額/返済日と方法/金利(種類・見直し日)/担保・保証/特約の有無。AI。人が原文と照合。
(b) 返済予定表の各借入の「今月末の予定残高」と、帳簿の残高を並べる … AI。
(c) 合わない借入、一覧にない残高(帳簿にあって一覧にない)、一覧にあって帳簿にない借入を出す … AI。
(d) 差額の原因を、返済の記録と銀行の残高証明で確かめる … 人。

ここはAIを使わない

契約条件の解釈と、差額の原因の決定。AIは「差額は繰上返済によるものと思われます」と書きますが、返済の記録と銀行の残高証明を見た人にしか分かりません。それから、契約書の条件を要約させない。「変動金利(基準日:毎年4月1日)」が「変動金利」に要約されると、見直し日が消えます。引用は原文のまま、照合は人。AIに任せるのは、抜き出しと突合まで。

3. AIに任せること/人が判断すること

AIに任せる
  • 契約書の該当条項から、条件を原文のまま一覧に抜き出す
  • 返済予定表の予定残高と帳簿残高を並べ、差額を出す
  • 帳簿にあって一覧にない残高、一覧にあって帳簿にない借入を出す
  • 金利の見直し日・返済日を、今後12か月のカレンダーに並べる
人が判断する
  • 抜き出した条件が契約書の原文と一致しているか
  • 差額の原因(返済の記録・残高証明)
  • 返済予定表の更新と帳簿の修正
  • 契約条件の解釈(銀行・法務)

4. 実行 ― AIとのやりとり

準備 ― 契約書の該当条項・返済予定表・帳簿残高

各契約書の「金額・返済・金利・担保・特約」の条(金庫から出して該当ページだけ)。返済予定表の今月末の予定残高、帳簿の借入金の残高明細。銀行名は記号、金額は千円単位。

用語:チャット型AIだけで完結する使い方です。銀行名は記号、金額は千円単位。契約書は該当条項だけを貼ります。用語集
最初にAIへ出す指示(そのまま貼って使えます)【場面と読み手】 私は財務担当です。借入契約の条件を一覧にし、返済予定表と帳簿の残高を突き合わせて、合わないものを見つけたいと考えています。読み手は私と上司です。 【事実/入力】 ・以下に、借入契約5本の該当条項(金額・返済・金利・担保・特約)を原文のまま貼ります(銀行名は記号) ・以下に、返済予定表の今月末の予定残高と、帳簿の借入金残高明細を貼ります(千円単位) ・差額の原因は、私が返済の記録と残高証明で確かめます 【依頼】 ①契約ごとに、借入先/契約日/金額/返済日と方法/金利(種類・見直し日)/担保・保証/特約の有無を、原文のまま引用して一覧にしてください ②各借入について、返済予定表の予定残高と帳簿残高を並べ、差額を出してください ③帳簿にあって①にない残高、①にあって帳簿にない借入を出してください 【出力の型】 ①表:借入記号/項目/引用(原文のまま)/契約書上の条番号 ②表:借入記号/予定残高/帳簿残高/差額 ③表:種類/借入記号または帳簿の科目/金額 【禁止事項】 ・条件を要約・言い換えしないでください ・差額の原因を推測して書かないでください ・契約条件の有利・不利や、借換えの提案を書かないでください

往復1回目 ― 条件が要約されていた

AIの初稿

①で借入Cの金利が「変動金利」とだけ書かれていた。原文は「短期プライムレートに連動する変動金利とし、毎年4月1日および10月1日に見直す」。

ここが問題

見直し日が消えています。一覧を見て「Cは変動」までしか分からないと、見直し日の前に銀行に確認する、という動きが取れません。禁止事項に書いていてもこうなります。

追加で出した指示

「①の引用をすべて原文どおりに書き直してください。省略した語句がないか、1件ずつ確認してください。」

修正版

原文どおりになった。5本のうち、担保ありが2本、保証ありが1本、特約(財務制限条項)ありが2本。

人が最後にやること

①の引用を、契約書の原文と1件ずつ照合します。照合が済んだら、金利の見直し日と返済日を12か月のカレンダーに並べさせ、財務のスケジュールに入れます。

往復2回目 ― 合わない残高

AIの初稿

②で借入Bの差額が −3,000(帳簿が予定表より少ない)。③で「帳簿にあって①にない残高:短期借入金 12,500」。Bの差額に「繰上返済の可能性」と付いていた。

ここが問題

差額と、一覧にない残高の抽出は、これが見たかったもの。ただし「繰上返済の可能性」は推測で、予定表の更新漏れかもしれないし、帳簿の計上誤りかもしれません。

追加で出した指示

「原因の記述を削除し、差額と金額だけにしてください。」

修正版

表だけになった。

人が最後にやること

Bは返済の記録を見ると、半年前に一部繰上返済していて、予定表が更新されていませんでした。予定表を直します。12,500の短期借入金は当座貸越の残高で、契約書を金庫から出していなかったもの。契約書を出して①に足します。「一覧にない残高」は、一覧の漏れを教えてくれます。

5. エラーと例外 ― うまくいかないとき

  • 契約書が古くて条項が読みにくい … 該当条項だけ手で打ち直して貼ります。全文は不要。
  • 当座貸越のように残高が日々変わる … 一覧には「極度額」と「契約条件」を載せ、残高は月末時点で帳簿から。予定残高は「なし(随時)」と書きます。
  • リース会社からの借入が、帳簿ではリース債務になっている … 一覧に「帳簿上の科目」の列を足します。科目が違っても、契約は契約。
  • AIがまた要約する … 「原文のまま」を毎回入れ、照合します。

6. 検証 ― 正しいとどう言えるか

  1. ①の引用が、契約書の原文と1件ずつ一致しているか。
  2. ②の差額が0でない借入について、原因を記録で確かめ、予定表か帳簿を直したか。
  3. ③の「一覧にない残高」が0になったか(全借入が一覧に載ったか)。
  4. 金利の見直し日・返済日が、財務のスケジュールに入ったか。

7. 注意点

借入契約は機密性が高いです。銀行名は記号、金額は千円単位、条文だけを貼ります。社内ルールで確認してください。
要約は危ない。見直し日・特約の有無が消えます。引用は原文、照合は人。
差額の原因はAIに決めさせません。返済の記録と残高証明で。この活用例の設例は架空です。

8. After ― 翌月以降、何が変わるか

  • 「借入の一覧をください」に、契約条件つきの一覧で答えられます。
  • 予定表の更新漏れ・帳簿の計上漏れが、毎月の突合で見つかります。
  • 金利の見直し日の前に、銀行に確認する動きが取れます。
  • 一覧が、監査法人への借入の説明資料と、次の担当者への引き継ぎ資料になります。
明日の仕事で試すこと
  • 帳簿の借入金の残高明細を開き、借入の本数を数える
  • 返済予定表に載っている本数と比べる。違えば、それが「一覧にない残高」
  • 1本選んで、契約書の金利の条を原文のまま書き写す

応用 ― 難易度を上げる場合

特約(財務制限条項)の中身は借入契約の財務制限条項を、決算前に確認するへ。返済予定をシナリオで見るなら資金繰り表の作成を補助し、シナリオ試算を行う。子会社への貸付は、貸す側として同じ型で子会社への貸付の契約・利息・残高を、子会社側の記録と突き合わせる一覧にする。