月次の締めのカレンダーを、「予定日・実績日・遅れた理由」で毎月記録して、遅れやすい工程を見つける
月次決算の工程(経費締め、売上確定、仕訳の入力、残高照合、報告)ごとに「予定日/実績日/担当/遅れた理由の区分」を毎月記録し、3か月分を並べて「毎月遅れる工程」「遅れが後の工程に波及している箇所」「予定日そのものが無理な工程」をAIに出させ、翌月の予定日と工程の順番を見直す方法です。集計と抽出はAI、遅れた理由の記入は担当者、予定の見直しは責任者。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のIT企業、サンライズソリューションズ株式会社。月次の締めは、詰まっている箇所を見つけて、作業の棚卸しもしました。カレンダー(工程ごとの予定日)もあります。でも。
- 締めが毎月遅れるが、どの工程が原因かを数字で言えない。「経費の締めが遅い気がする」だけ。
- 予定日と実績日を記録していない。カレンダーは予定だけで、終わった日は誰も書かない。
- ある工程の遅れが、後の工程を押しているのか、後の工程が独自に遅いのかが分からない。
- 予定日そのものが無理(前の工程の翌日)な工程があるが、毎月同じ予定を立てている。
詰まりの原因の分析は別記事の話。この記事でやるのは、工程ごとの予定日と実績日を毎月記録して、3か月並べて「遅れやすい工程」を数字で出すことです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) カレンダーの工程(15〜20個)に、「予定日/実績日/担当/遅れた理由の区分」の列を足す … 責任者。理由の区分は「前の工程待ち/他部署待ち/自分の作業量/システム/その他」。
(b) 毎月、工程が終わったらその日に実績日と理由を書く … 担当者。
(c) 3か月分を並べ、①3か月とも予定より遅れた工程、②理由が「前の工程待ち」の工程と、その前の工程、③予定日が前の工程の予定日の翌日以内で、実績で毎月遅れる工程、④遅れの日数が一番大きい工程、を出す … AI。
(d) ①③は予定日か順番を見直し、②は前の工程の側を直す … 責任者。
(e) 翌月のカレンダーを、見直した予定日で作る … 責任者。
遅れた理由を決めること、予定日と順番を変えること。理由は担当者が書き、予定の見直しは責任者。AIに「なぜ遅れたか」を推測させません。それから、担当者は職位で。遅れの記録が人の評価に使われないよう、記録の目的を先に伝えます。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 3か月分の予定日と実績日から、工程ごとの遅れの日数と回数を出す
- 毎月遅れる工程、前の工程待ちの連鎖、予定が無理な工程を出す
- 遅れの理由の区分ごとの件数
- 翌月のカレンダーの書式(予定日は責任者が入れる)
- 実績日と遅れた理由の記入(担当者)
- 予定日と順番の見直し(責任者)
- 他部署待ちの工程について、他部署と話す(責任者)
- 記録が評価に使われないことの周知(責任者)
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 3か月分のカレンダー
工程/予定日/実績日/担当の職位/遅れた理由の区分、3か月分。個人名は渡しません。
往復1回目 ― AIが「予定日」を提案した
④で「残高照合」が、前の工程(仕訳の入力)の予定日の翌日で、3か月とも遅れていた。表の下に「残高照合の予定日を2営業日後ろにずらすことを推奨します」と付いていた。
残高照合が④に当たるのは、これが見たかったもの。「2営業日後ろに」は予定の判断で、後ろにずらすと報告の日程に影響し、それを決めるのは責任者です。禁止事項に書いていてもこうなります。
「予定日の提案を削除し、④は表だけにしてください。」
①は18工程の遅れの一覧。②は3か月とも遅れたのが4工程(経費の締め、仕訳の入力、残高照合、報告の下書き)。③は残高照合と報告の下書きが「前の工程待ち」で、その前の仕訳の入力が毎月2日遅れ。④は残高照合1工程。
③を見ると、遅れの起点は仕訳の入力で、その理由は「他部署待ち」(経費の締めが遅い)。責任者として、残高照合の予定を動かすのではなく、経費の締めの側を他部署と話すことにします。
往復2回目 ― 「自分の作業量」の工程
②の「報告の下書き」の理由が3か月とも「自分の作業量」。付記に「担当の作業量が過大であり、人員の見直しが必要と考えられます」とあった。
理由の区分の集計はよい。「人員の見直し」は判断で、報告の下書きが遅いのは、前の工程の遅れで着手が遅くなり、作業量の問題に見えているだけかもしれません。
「判断の記述を削除し、②は表だけにしてください。」
表だけになった。
担当者に聞くと、着手が遅れて、締め日に集中するので「作業量」と書いたとのこと。理由の区分に「着手の遅れ(前の工程待ち)」と「作業量そのもの」を分けて、来月から記録します。人員の話ではなく、順番の話でした。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- 実績日を書き忘れる … 締めの日の夕方に責任者が「実績日を書いてください」と一言。3か月で習慣になります。
- 遅れた理由が「その他」ばかり … 区分が合っていません。「その他」の中身を聞いて、区分を足します。
- 遅れの記録が人の評価に使われると部員が心配する … 記録の目的(工程と予定を直すため)を先に伝え、実際にそう使います。評価に使った瞬間、記録は嘘になります。
- AIがまた予定日や判断を書く … 削除。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- 3か月分の全工程に、実績日と理由の区分があるか。
- 毎月遅れる工程について、予定か順番か前の工程かの見直しがされたか。翌月の遅れが減ったか。
- 遅れの起点の工程が、数字で言えるようになったか。
- 集計に、AIの予定の提案や判断が混ざっていないか。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 「どの工程が遅いか」が、気ではなく3か月の数字で言えます。
- 遅れの起点が分かり、後ろの工程の予定を動かさずに済みます。
- 無理な予定日が見え、翌月のカレンダーが現実に合います。
- 記録が、他部署と締めの日程を話すときの材料になります。
- 今月のカレンダーを開き、終わった工程に実績日を書く
- 予定より遅れた工程に、理由を5つの区分のどれかで書く
- それが記録の最初の月。3か月続けると、起点が見える
応用 ― 難易度を上げる場合
詰まりの見つけ方は月次のどこが詰まっているかを見つける、作業の棚卸しは月次の作業を「誰が・いつ・何を見て・何を出すか」で棚卸しするへ。提出が遅い相手には提出が遅い相手に、角を立てずに出してもらうとき。