部門別の売上請求の締め状況を、受注一覧と請求済み一覧から「未請求・請求済み未計上」の表にする
月末に各部門から来る「今月の請求」を待つのではなく、受注一覧(案件・部門・納品予定・請求予定)と請求システムの請求済み一覧を突き合わせ、「請求予定を過ぎたのに未請求」「請求済みだが売上の計上がまだ」「請求済みだが受注一覧にない」の3つを部門ごとに出す方法です。突合と抽出はAI、請求してよいかは部門と営業、計上は経理の判断。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のIT企業、サンライズソリューションズ株式会社。開発・運用・コンサルの3部門が、それぞれ案件ごとに請求を出しています。請求システムには請求済みの一覧がある。営業には受注一覧がある。経理には、月末に「今月の請求はこれです」と来る。ところが。
- 納品したのに請求が出ていない案件が、翌月になって見つかる。担当者が忙しくて請求を忘れていた。
- 請求は出ているのに、売上の計上がまだの案件がある。請求システムと会計システムが別で、経理が拾えていない(検収日と計上月のずれは別の問題)。
- 受注一覧にない案件の請求が出ている。口頭で受けた追加作業。受注の記録がない。
- 「今月の請求はこれです」が、部門によって形も締めの時刻も違う。経理は3つの形を読み替えている。
売上の計上時期そのものは会計方針の話。この記事でやるのは、締めの前に、受注一覧と請求済み一覧を突き合わせて、部門に「これは?」と聞く一覧を作ることです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) 受注一覧(案件No./部門/顧客記号/納品予定日/請求予定日/金額)と、請求済み一覧(請求No./案件No./請求日/金額)と、会計の売上計上一覧(案件No./計上月/金額)を集める … 人。
(b) 案件No.で3つを突き合わせ、①請求予定日を過ぎたが未請求、②請求済みだが計上なし、③請求済みだが受注一覧にない、④金額が一覧の間で違う、を部門ごとに出す … AI。
(c) ①を部門に、③を営業に聞く。②は経理が計上の要否を判断する … 人。
(d) 締めの2営業日前に(b)(c)を回し、翌月には「毎月出る案件」を減らす … 経理と部門。
請求してよいか、売上を計上してよいか。①の「未請求」は、納品が遅れて請求予定日が意味を失っているだけかもしれません。請求は部門と営業が、計上は経理が、会計方針に沿って決めます。それから、顧客名は記号に置き換えます。案件名も、顧客が分かる名前なら置き換え(社内ルール)。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 受注一覧・請求済み一覧・売上計上一覧を案件No.で突き合わせる
- ①未請求、②請求済み未計上、③受注なし請求、④金額違い、を部門ごとの表にする
- 先月の表と比べて、2か月続けて①に出ている案件を出す
- 部門に聞くときの1行(案件No.と事実だけ)の下書き
- 請求してよいか(部門・営業)
- 売上を計上するか(経理、会計方針に沿って)
- 受注一覧にない案件をどう扱うか(営業)
- 請求予定日の付け方の見直し(部門と経理)
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 3つの一覧を案件No.で
3つの一覧に共通の案件No.があることが前提。なければ、まず請求システムと受注一覧に案件No.を入れるところから(この記事の範囲外)。顧客は記号、案件名は必要なら置き換え。
往復1回目 ― AIが「計上すべき」と書いた
②で「請求済みだが計上なし」が6件。表の下に「これらは請求済みのため、今月の売上として計上すべきです」とあった。
6件の抽出は見たかったもの。「計上すべき」は会計の判断で、請求した=売上ではありません(前受の請求や、分割請求の前払分かもしれない)。禁止事項に書いていてもこうなります。
「計上に関する記述を削除し、②は表だけにしてください。」
①は開発部門で7件、運用で2件、コンサルで4件。②は6件。③は3件。④は2件。
②の6件を見ると、4件は着手金の請求で、会計方針上まだ売上ではない。2件は経理の取り込み漏れでした。2件を計上します。判断は経理、方針の確認は監査法人と。
往復2回目 ― 「未請求」13件の聞き方
①の13件について、部門への確認文を頼むと、「請求が遅れており、資金繰りにも影響するため、本日中に請求をお願いします」という文になっていた。
「遅れている」は理由の推測で、納品が延びて請求予定日がずれていないだけの案件も混ざっています。「本日中に」は部門の仕事の順番を経理が決めることになります。
「理由と期限の記述を削除し、『案件No.○○は請求予定日が○月○日ですが、請求済み一覧にありません。予定どおり請求する・予定日を変える・請求しない、のどれかを教えてください』の型にしてください。」
13件が、部門ごとに3択で聞く文になった。
返事は、8件が「予定どおり請求する」(忘れていた)、4件が「予定日を変える」、1件が「請求しない」(受注が流れた)。受注一覧の請求予定日を直してもらい、流れた案件は受注一覧から外してもらいます。頼むのは経理、直すのは部門。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- 案件No.が一覧の間で揃っていない … 突合ができません。まず案件No.を揃える話を部門とします。この記事はその後。
- 分割請求の案件で、①と②が毎月出る … 受注一覧に「請求回数」の列を足し、何回目の請求かで突き合わせます。
- ③(受注なし請求)が多い部門がある … 口頭受注が多い部門。受注の記録の話を営業と。請求を止める話ではありません。
- AIがまた計上や理由を書く … 削除。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- ①の案件すべてに、部門からの3択の回答があるか。回答のない案件が締めに残っていないか。
- ②の案件すべてに、経理の「計上する・しない」の判断と理由があるか。
- 締め後に見つかる「請求忘れ」が、先月より減ったか。
- 表に、AIの計上の判断や理由の推測が混ざっていないか。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 請求忘れが、翌月ではなく締めの2営業日前に見つかります。
- 「請求済みだが計上なし」が、着手金か取り込み漏れかに分けて処理されます。
- 受注一覧の請求予定日が、部門の手で直され、翌月の①が減ります。
- 3つの形で来ていた「今月の請求」が、1つの表に置き換わります。
- 受注一覧と請求済み一覧に、共通の案件No.があるかを見る
- あれば、案件No.でVLOOKUPして、請求済み一覧にない案件を数える
- なければ、案件No.を揃える話が先。それが一番の締めの改善
応用 ― 難易度を上げる場合
検収日のずれは検収書の日付と売上の計上月がずれている案件を、締め前に出す、請求から入金までの流れは請求から入金までの流れを、担当・システム・待ち時間で1枚に描くへ。前受の管理は前受金の残高を、契約ごとの「いつ売上になるか」の一覧にして毎月消し込む。