償却資産の所在を、申告先(自治体)ごとに台帳と拠点の一覧から突き合わせて「所在が申告先と違う資産」を出す
固定資産台帳の「所在(拠点)」と、拠点ごとの申告先(自治体)の対応表を使って、資産ごとの申告先を出し、「台帳の所在が空欄の資産」「拠点を移動したのに所在が古い資産」「拠点の一覧にない所在」をAIに出させて、申告の前に台帳の所在を直す方法です。突合と抽出はAI、所在の確認は総務と担当者、申告の対象・要件・期限は税理士と自治体の公表資料で確認。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。拠点が本社のほかに3か所あり、償却資産の申告は台帳の増減と前年の申告一覧の突合で進めています。拠点が増えてから、こうなりました。
- どの資産をどの自治体に申告するかが、台帳から分からない。台帳の「所在」の列が、空欄か「本社」のまま。
- 拠点を移動した資産(ノートPC、什器)の所在が、台帳では古いまま。移動の申請は別の記事で拾っているが、所在の列に反映されていない。
- 去年の申告で、ある拠点の資産を別の自治体に含めていたかもしれない。確かめる手がかりがない。
- 拠点の一覧(住所・自治体)を経理が持っていない。総務にある。
申告の要否・要件・期限は税理士と自治体の話。この記事でやるのは、台帳の「所在」と拠点の一覧を突き合わせて、申告先ごとの資産の一覧を作れる状態にすることです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) 拠点の一覧を総務からもらう … 拠点記号/住所(自治体まで)/申告先の自治体/開設日・閉鎖日。
(b) 固定資産台帳(資産記号/種類/取得日/所在の拠点記号/金額の規模)を用意する … 経理。
(c) 拠点記号で突き合わせ、①所在が空欄の資産、②所在が拠点の一覧にない資産(閉鎖した拠点、記号の揺れ)、③移動の申請の記録があるのに所在が古い資産、④申告先ごとの資産の件数と規模の集計、を出す … AI。
(d) ①②③の所在を、総務と各拠点の担当者に確かめて台帳を直す … 経理と総務。
(e) 申告先ごとの一覧を税理士に渡し、対象・要件・期限を確認して申告する … 責任者と税理士。
申告の対象になるかどうか、要件、期限、税額。この記事の一覧は「どの資産がどこにあるか」を揃えるだけで、申告の中身は税理士と自治体の公表資料の原文で確かめます。AIに「この資産は申告対象か」を聞きません。それから、資産の名称は種類に、金額は規模に置き換えます。拠点の住所は自治体名まで。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 台帳と拠点の一覧を拠点記号で突き合わせる
- 所在が空欄・一覧にない・移動の記録と食い違う資産を出す
- 申告先ごとの資産の件数と規模の集計
- 拠点記号の揺れ(「本社」「HQ」「東京」)をまとめる
- 資産の所在の確認(総務と各拠点の担当者)
- 台帳の所在の修正(経理)
- 申告の対象・要件・期限(税理士と自治体の公表資料)
- 閉鎖した拠点の資産の扱い(責任者と税理士)
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 台帳の抜粋と拠点の一覧
台帳は資産記号/種類/取得年/所在の拠点記号/金額の規模。拠点の一覧は拠点記号/自治体名/申告先/開設・閉鎖。移動の申請の記録(資産記号/移動前/移動後/日付)。資産の名称と実際の金額は渡しません。
往復1回目 ― AIが「対象外」と書いた
①で所在が空欄の資産が62件、種類は「ソフトウェア」が多い。表の下に「ソフトウェアは償却資産の申告対象外のため、所在の記入は不要です」と付いていた。
62件と種類の内訳は見たかったもの。「申告対象外」は要件の話で、この記事の範囲外です。対象かどうかは税理士と自治体の公表資料で確かめます。禁止事項に書いていてもこうなります。
「申告の対象に関する記述を削除し、①は表と一覧だけにしてください。」
①は62件(ソフトウェア38件、什器15件、その他9件)。②は閉鎖した拠点の記号が残っている資産が11件、記号の揺れ(「HQ」)が7件。③は移動後の拠点と台帳が違う資産が9件。④は申告先4自治体の集計。
①の62件のうち什器とその他の24件は、総務に所在を確かめてもらいます。ソフトウェアの38件は、所在を「本社」にするか、そもそも所在の列が要るかを税理士に聞いてから決めます。要否は税理士。
往復2回目 ― 閉鎖した拠点の資産
②の閉鎖拠点の11件について、「閉鎖時に除却または本社へ移動したと考えられるため、台帳の所在を本社に変更してください」とあった。
11件の抽出はよい。「除却または本社へ移動」は推測、「本社に変更」は指示で、11件の中には閉鎖時に売却したものもあり、除却の処理が漏れている可能性があります。
「推測と指示を削除し、②は表だけにしてください。」
表だけになった。
11件を総務の閉鎖時の記録と照らすと、6件は本社へ移動、3件は売却(台帳から落とす処理が漏れていた)、2件は行方が分からない。2件は責任者に報告し、扱いを決めます。台帳を直してから、申告先ごとの一覧を税理士に渡します。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- 台帳に「所在」の列がない … 列を足すところから。今年は取得時の請求先の拠点で仮に埋め、来年に向けて実査で直します。
- 拠点の一覧が総務にもない … 契約している事業所の一覧(賃貸契約)から作ります。自治体名は住所から。
- 同じ拠点でも自治体の境をまたぐ(倉庫が隣の市) … 拠点記号を分けます。申告先は税理士に確認。
- AIがまた対象や推測を書く … 削除。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- 台帳のすべての資産に、拠点の一覧にある所在が入っているか(または要否を税理士に確認した記録があるか)。
- 移動の申請の記録と台帳の所在が一致しているか。
- 閉鎖した拠点の資産が、すべて移動・売却・除却のどれかに処理されているか。
- 一覧に、AIの対象の判断や推測が混ざっていないか。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 申告先ごとの資産の一覧が、台帳から出せます。
- 移動した資産の所在が、申告の前に直ります。
- 閉鎖した拠点の資産の処理漏れが見つかります。
- 拠点の一覧と台帳の所在が、来年の申告の元になります。
- 固定資産台帳を開き、「所在」の列が空欄の資産を数える
- 拠点の一覧(住所と自治体)が経理の手元にあるかを確かめる
- なければ、総務に「拠点記号/自治体名/開設・閉鎖」の3列だけ頼む
応用 ― 難易度を上げる場合
申告前の台帳突合は償却資産の申告前に、固定資産台帳の増減と前年の申告一覧を突き合わせる、移動・除却の申請は除却・移動の申請が経理に届いていない資産を、稟議と総務の記録から拾うへ。実査の前の候補は固定資産の実査の前に、「現物のない資産」「台帳にない現物」の候補を出す。