注記に載せる数字ごとに「元データ・作った人・確認した人」の台帳を作り、去年の台帳と並べて空欄を出す
注記に載せる数字(表の各行・文中の金額)を1つずつ「注記の項目/数字の名前/元データ(システム・帳票・Excelの名前と所在)/作った人/確認した人/去年の元データ」の台帳にし、元データが空欄の数字と、去年と元データが違う数字をAIに出させる方法です。台帳の型と抽出はAI、元データの特定と数字の確認は人、注記の内容と要否は会計基準の原文と監査法人との協議。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。注記は前年比較で改正対応の箇所を見ています。数字の側で、こうなります。
- 監査法人に「この注記の数字の元は?」と聞かれて、作った人に聞きに行く。作った人が休みだと止まる。
- 同じ数字が、注記と本表と別の注記で微妙に違う。元データが違うのか、丸めが違うのか、分からない(突き合わせ表は書類の間、この記事は数字の元)。
- 去年と元データが違う数字があるが、変えた理由を誰も覚えていない。
- 注記の数字を「誰が確認したか」が残っていない。
注記の要否と内容は基準と監査法人の話。この記事でやるのは、注記の数字1つずつに元データと作った人・確認した人を付けた台帳を作り、聞かれたら台帳で答えることです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) 台帳の型を決める … 注記の項目/数字の名前(表の行と列、または文中の位置)/元データ(システムの帳票名・Excelの名前・シート・セルの所在)/作った人(職位)/確認した人(職位)/確認日/去年の元データ/去年と違う場合の理由。
(b) 今年の注記の下書きから、数字を1つずつ抜き出して台帳の行にする … AI(数字の値は渡さず、項目と名前だけ)。
(c) 各行の元データ・作った人を、担当者が埋める … 人。
(d) 元データが空欄の行、去年の台帳と元データが違う行、同じ数字の名前が複数の注記に出てくる行、を出す … AI。
(e) 空欄を埋め、違う理由を書き、複数に出てくる数字は元データを1つに揃える … 担当者と責任者。
注記に何を載せるか、数字が正しいか、元データが適切か。台帳は「この数字の元はこれ」を記録するだけで、それでよいかは責任者と監査法人が決めます。AIに注記の数字の値を渡しません。渡すのは項目と数字の名前と元データの名前だけ。数字の確認は、担当者が元データを開いて行います。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 注記の下書きの構成(項目・表・文中の金額の位置)から、台帳の行を作る(値は入れない)
- 元データが空欄の行、去年と元データが違う行、同じ数字の名前が複数の注記に出てくる行を出す
- 元データの名前の揺れ(同じExcelが違う名前で書かれている)をまとめる
- 監査法人向けの「数字の元データ一覧」の書式
- 元データの特定と記入(担当者)
- 数字の確認(担当者が元データを開いて、確認者が記録)
- 去年と元データを変えた理由の記入(責任者)
- 注記の要否と内容(基準の原文と監査法人との協議)
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 注記の構成と去年の台帳
今年の注記の下書きから、項目名・表の行列の見出し・文中の金額の位置だけを抜き出したもの(数字の値は消す)。去年の台帳(項目/数字の名前/元データ)。人は職位。
往復1回目 ― AIが「元データ」を推測した
②で元データが空欄の行が41行。ただ、そのうち12行が「去年の台帳と同じ元データと推定」として、去年の元データで埋まっていた。
41行が見えたのはよい。去年の元データで埋めるのは推測で、今年はシステムを変えて帳票の名前が変わった項目があります。埋まった台帳は「確認済み」に見えます。禁止事項に書いていてもこうなります。
「推定で埋めた元データを空欄に戻してください。去年の元データは③で並べるだけにしてください。」
①は192行。②は空欄41行。③は元データが去年と違う行が23行、新しい行が14行、去年あって今年ない行が8行。④は「従業員数」「借入金の合計」など5つの数字が複数の注記に出てくる。
41行の空欄を、作った人に聞いて埋めます。23行の「違う」は、17行がシステム変更による帳票名の変更で、6行は本当に元データを変えたもの。6行の理由を責任者が書きます。
往復2回目 ― 複数の注記に出てくる数字
④の「借入金の合計」が3つの注記に出てきて、元データが2種類(借入金の一覧Excelと、会計システムの残高試算表)。AIは「残高試算表に統一することを推奨します」と付けていた。
2種類ある事実は大事。「統一を推奨」は元データの選択の判断で、注記の項目によって求められる内訳が違い、一覧でないと出せない注記があります。
「推奨を削除し、④は表だけにしてください。」
表だけになった。
責任者と、「合計は残高試算表、内訳は一覧。一覧の合計が試算表と一致することを確認者が確かめる」と決め、台帳に書きます。同じ数字が微妙に違う問題は、この確認で消えます。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- 去年の台帳がない … 今年の台帳を作るだけ。去年の元データの列は、分かる範囲で作った人に聞いて埋めます。
- 元データが「担当者の手計算」 … それも元データ。計算のExcelの名前と所在を書き、確認者がその計算を確かめます。
- 注記の項目が多くて台帳が長い … 長いのは注記が多いから。項目ごとにシートを分けます。
- AIがまた推測で埋める、統一を推奨する … 戻す・削除。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- 台帳のすべての行に、元データ・作った人・確認した人・確認日があるか。
- 去年と元データが違う行すべてに、理由があるか。
- 複数の注記に出てくる数字が、同じ元データか、一致の確認つきか。
- 監査法人からの「この数字の元は?」に、台帳を見て答えられたか。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 「この数字の元は?」に、台帳の1行で答えられます。作った人が休みでも。
- 同じ数字が微妙に違う問題が、元データの揃えと一致の確認で消えます。
- 去年と元データを変えた数字に、理由が残ります。
- 台帳が、来年の「去年の元データ」になり、担当が変わっても引き継がれます。
- 去年の注記から数字を1つ選び、元データが何かを30秒で言えるか試す
- 言えなければ、作った人に聞いて、「項目/数字の名前/元データ/作った人」の1行を書く
- それが台帳の最初の行
応用 ― 難易度を上げる場合
注記の前年比較は注記の前年比較と、改正対応が必要な箇所を洗い出す、書類の間の数字の突き合わせは事業報告・計算書類・有価証券報告書の同じ数字を、突き合わせ表で揃えるへ。監査法人に渡す資料の1行は監査法人に渡す資料に、版・日付・作成者・元データの1行を付ける。