外貨口座の入出金予定を通貨ごとに並べて、「両替が要る日」と「余る通貨」を出す
外貨建ての売掛金の入金予定・買掛金の支払予定・外貨口座の残高を通貨ごとに日付順に並べ、「残高が足りなくなる日」「入金があるのに同じ通貨の支払がなく余る通貨」「同じ日に入金と支払がある通貨」をAIに出させる方法です。整理と抽出はAI、両替の要否・時期・為替予約は財務責任者、レートの判断は人。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。海外の顧客からドルとユーロで入金があり、海外のクラウドサービスにドルで支払い、海外の協力会社にユーロで支払っています。外貨口座はドルとユーロの2つ。円の資金繰り表(資金繰り表)はあるのですが、外貨は。
- ドルの支払日に、ドル口座の残高が足りなかった。慌てて円から両替。その日のレートで。
- ユーロは入金が続いて口座に溜まっている。ユーロの支払は少なく、使い道がないまま残高だけ増える。
- 同じ週にドルの入金とドルの支払があるのに、入金前に両替してしまった。待てば要らなかった。
- 外貨の入金予定は営業が、支払予定は購買が持っていて、通貨ごとに並べた人がいない。
為替の見通しや予約の判断は財務責任者と銀行の話。この記事でやるのは、通貨ごとに入金・支払・残高を日付順に並べて、「両替が要る日」を前もって見えるようにすることです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) 通貨ごとに、外貨口座の残高(今日)、外貨建て売掛金の入金予定(日付・金額)、外貨建て買掛金の支払予定(日付・金額)を集める … 人。営業と購買から。
(b) 通貨ごとに日付順に並べ、日ごとの残高の推移を出す。①残高がマイナスになる日、②入金だけが続いて残高が増える通貨、③同じ週に入金と支払がある通貨と日付、を出す … AI。
(c) ①について、両替するか、入金を待つか、支払日をずらす相談をするかを決める … 財務責任者。
(d) ②について、両替して円に戻すか、持っておくかを決める … 財務責任者。
(e) 週次で(a)(b)を回し、予定の日付がずれたら直す … 担当者。
両替するかどうか、いつするか、為替予約をするか。AIは「10月14日にドルが足りなくなる」までは出せますが、そこで両替するか入金を待つかは、レートの見通しと資金の余裕の話で、財務責任者が決めます。AIに為替の見通しを聞きません。それから、顧客名・取引先名は記号に置き換え、口座番号は渡しません。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 通貨ごとに入金予定・支払予定・残高を日付順に並べ、日ごとの残高推移を出す
- 残高がマイナスになる日と、その不足額を出す
- 入金だけが続いて増える通貨、同じ週に入金と支払がある通貨を出す
- 先週の表と比べて、日付がずれた予定を出す
- 両替の要否・時期・金額(財務責任者)
- 為替予約の要否(財務責任者と銀行)
- 入金予定の確からしさ(営業に聞く)
- 支払日をずらす相談(購買と取引先)
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 通貨ごとの予定と残高
通貨(USD・EUR)ごとに、今日の口座残高、入金予定(日付/顧客記号/金額)、支払予定(日付/取引先記号/金額)。顧客・取引先は記号、口座番号は渡しません。金額は外貨のまま。
往復1回目 ― AIが「両替を推奨」した
②で「USD:10月14日にマイナス、不足 32,000」。その下に「10月10日までに円からUSDへ両替することを推奨します。なお、10月20日に大口入金があるため、支払を延期できれば両替は不要です」と付いていた。
不足の日と額は見たかったもの。「両替を推奨」「支払を延期できれば」は、財務責任者の判断と取引先との関係の話です。禁止事項に書いていてもこうなります。ただ、「10月20日に入金がある」という事実の指摘は使えます。
「推奨と延期の記述を削除してください。②に『マイナスになる日の後、最初に残高がプラスに戻る日』の列を足してください。」
②はUSDが10/14にマイナス、10/20にプラスに戻る。EURはマイナスなし。③はEURが12月末に今日の約2倍。④はUSDで3週、EURで1週。
財務責任者に「USDは10/14〜10/20の6日間だけ足りない」と伝えます。責任者は、10/14の支払先に支払日を10/21にできるか購買から聞いてもらい、無理なら不足分だけ両替する、と決めました。決めたのは責任者。表は事実だけ。
往復2回目 ― 入金予定の「確からしさ」
①のUSDの表で、10/20の大口入金(顧客C3)が残高を大きく戻していた。先週の表と比べると、この入金は先週「10/10」だった。AIは日付のずれを出さず、そのまま並べていた。
入金予定は動きます。先週10/10だった入金が今週10/20になっているなら、来週は11月かもしれない。この入金を当てにして両替を待つのは危ない。AIは頼まなければ、先週との違いを出しません。
「先週の入金予定(以下に貼ります)と比べて、日付が変わった予定と金額が変わった予定を出してください。」
日付が変わったのが4件(うちC3は2度目のずれ)、金額が変わったのが1件。
C3の入金を営業に聞くと、顧客側の検収が遅れていて、10/20も確実ではないとのこと。責任者は、C3の入金を当てにせず10/14の不足分は両替する、に判断を変えました。表に「C3:2度ずれ、営業確認中」と書き添えます。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- 入金予定を営業が出してくれない … 売掛金の一覧の支払期日を入金予定の代わりにします。実績とのずれは週次で直します。
- 通貨が3つ以上ある … 通貨ごとにシートを分けます。やり方は同じ。
- 外貨口座の残高が銀行の画面でしか分からない … 毎週の同じ曜日に写します。毎朝の残高に外貨の行を足すのも手。
- AIがまた両替や見通しを書く … 削除。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- 通貨ごとの今日の残高が、銀行の画面と一致しているか。
- 残高がマイナスになる日が、その日の2週間以上前に見えているか。当日に慌てていないか。
- 2度以上日付がずれた入金予定に、営業の確認がついているか。
- 表に、AIの両替の推奨や為替の見通しが混ざっていないか。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 外貨が足りなくなる日が、当日ではなく2週間前に見えます。
- 同じ通貨の入金を待てば要らない両替が、減ります。
- 溜まる通貨が見え、持つか戻すかの判断が責任者に上がります。
- 入金予定のずれの記録が、営業との「予定の精度」の話の元になります。
- 外貨口座の今日の残高と、次の外貨の支払日・金額を紙に書く
- その支払日までに、同じ通貨の入金予定があるかを営業に聞く
- 「分からない」なら、それが通貨ごとの表を作る理由
応用 ― 難易度を上げる場合
為替予約との突き合わせは為替予約の契約・期日を一覧にして、外貨の支払予定と突き合わせる、円の資金繰り表は資金繰り表の作成を補助し、シナリオ試算を行うへ。毎朝の残高は複数口座の残高を、毎朝1枚にまとめて「いつもと違う」を見る。