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支払の承認に回す前に、「請求書・発注(契約)・検収」の3点が揃っているかを一覧にして、揃っていない支払を止める

今月の支払予定の1件ずつについて、「請求書がある/発注書または契約書がある/検収(納品・完了)の記録がある」の3点の有無を一覧にし、揃っていない支払と、揃っているが3点の金額・相手・内容が一致しない支払をAIに出させて、承認に回す前に担当者が確かめる方法です。一覧と抽出はAI、3点を揃える作業と例外の判断は担当者と責任者、支払の承認は決裁者。

AI操作難易度★☆☆☆☆ 経理財務 実務難易度★★☆☆☆ 使う道具チャット型AI+Excel

1. Before ― 手元はどうなっているか

架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。支払の前には、二重払いと振込先の確認と、請求書と契約の条件の突き合わせをしています。承認の段階で、こうなります。

  • 承認者に「この支払、発注書は?」「検収は済んでる?」と差し戻される。支払日に間に合わなくなる。
  • 請求書だけで支払に回っているものがある。発注の記録がなく、誰が頼んだのか分からない。
  • 発注書はあるが、金額が請求書と違う。追加作業があったのか、間違いか、支払の直前に聞いている。
  • 「3点揃えて」と言っているが、揃っているかを一覧で見たことがない。

承認の基準そのものは決裁の話。この記事でやるのは、承認に回す前に、3点の有無と一致を一覧にして、揃っていない支払を先に止めることです。

2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか

(a) 3点の定義を決める … ①請求書、②発注書または契約書(どちらかがあればよい。定期の契約は契約書)、③検収の記録(納品書への受領印、完了報告、システムの検収登録のどれか)。
(b) 今月の支払予定(支払No./相手記号/金額/内容の区分)と、3点それぞれの有無・所在・金額・相手・内容を集める … 人。
(c) 支払ごとに3点の有無を一覧にし、①3点のどれかがない支払、②3点はあるが金額・相手・内容が一致しない支払、③発注書の金額より請求書の金額が大きい支払、を出す … AI。
(d) ①は揃えてから承認に回す。②③は理由を確かめ、例外なら責任者が認める … 担当者と責任者。
(e) 承認者には、一覧の「3点の有無」の列を付けて回す … 担当者。

ここはAIを使わない

3点が揃っていない支払を認めるかどうか、金額の違いを認めるかどうか。「発注書がない」は、少額で発注書を省略する決まりの範囲かもしれないし、口頭発注の問題かもしれません。例外の判断は責任者、支払の承認は決裁者。それから、相手先名と口座番号はAIに渡しません。記号と金額と区分だけ。3点の書類そのものも渡しません(有無と金額だけ)。

3. AIに任せること/人が判断すること

AIに任せる
  • 支払ごとの3点の有無を一覧にする
  • どれかがない支払、3点の金額・相手・内容が一致しない支払、請求が発注を上回る支払を出す
  • 内容の区分ごとに「3点が揃っている率」を出す
  • 承認者向けの一覧の書式(3点の有無の列つき)
人が判断する
  • 3点を揃える作業(担当者が発注部門に聞く)
  • 揃っていない支払を認めるか(責任者、決まりの範囲で)
  • 金額の違いの理由の確認と扱い(担当者と責任者)
  • 支払の承認(決裁者)

4. 実行 ― AIとのやりとり

準備 ― 支払と3点の有無

支払No./相手記号/金額/内容の区分と、3点それぞれの有無・金額・相手記号・内容の区分。相手先名・口座・書類そのものは渡しません。

用語:チャット型AIと、手元のExcelでの前処理(相手の記号化、3点の有無の記入)を組み合わせます。書類そのものは渡しません。用語集
最初にAIへ出す指示(そのまま貼って使えます)【場面と読み手】 私は経理担当です。今月の支払予定について、請求書・発注(契約)・検収の3点が揃っているかを一覧にし、揃っていない支払と一致しない支払を承認の前に見つけたいと考えています。読み手は私と経理責任者、承認者です。 【事実/入力】 ・以下に、今月の支払予定(支払No./相手記号/金額/内容の区分)を貼ります(約110件) ・以下に、支払ごとの3点(請求書/発注書または契約書/検収の記録)の有無と、それぞれの金額・相手記号・内容の区分を貼ります ・少額の支払(一定額未満)は発注書を省略してよい決まりがあります(金額はここでは示しません) ・揃っていない支払を認めるかどうかは責任者が、承認は決裁者が決めます 【依頼】 ①支払ごとに3点の有無を一覧にしてください ②3点のどれかがない支払を、ない書類の種類ごとに出してください ③3点はあるが、金額・相手記号・内容の区分のいずれかが一致しない支払を出してください ④請求書の金額が発注書(契約書)の金額より大きい支払を、差の大きい順に出してください 【出力の型】 ①:表:支払No./相手記号/金額/請求書(あり・なし)/発注・契約(あり・なし)/検収(あり・なし) ②:表:ない書類/支払No./相手記号/金額/内容の区分 ③:表:支払No./一致しない項目/請求書の値/発注の値/検収の値 ④:表:支払No./発注の金額/請求書の金額/差 【禁止事項】 ・揃っていない支払を認めてよいか、止めるべきかを書かないでください ・金額の違いの理由を推測して書かないでください ・貼っていない支払や書類を足さないでください

往復1回目 ― AIが「止めるべき」と書いた

AIの初稿

②で発注書がない支払が18件。表の下に「発注書のない支払は統制上の問題があるため、すべて支払を保留すべきです」と付いていた。

ここが問題

18件は見たかったもの。「すべて保留」は判断で、18件のうち少額で省略の決まりの範囲のものがあります。禁止事項に書いていてもこうなります。この一文が承認者に見えると、承認者が全部止めます。

追加で出した指示

「判断の記述を削除し、②は表だけにしてください。」

修正版

①は110件。②は発注書なし18件、検収なし9件、請求書なし(前払の契約)2件。③は一致しないのが7件。④は請求が発注を上回るのが5件。

人が最後にやること

発注書なし18件のうち、11件は少額で決まりの範囲。7件は発注部門に発注の記録を出してもらい、2件は口頭発注だったので責任者が例外として認めるかを決めます。検収なし9件は、検収を待ってから承認に回します。

往復2回目 ― 請求が発注を上回る5件

AIの初稿

④の5件について、「追加作業が発生したものと考えられ、変更発注書の取得を推奨します」と付いていた。

ここが問題

5件の抽出はよい。「追加作業」は推測で、1件は請求書の側の間違い(単価が違う)でした。推測が書かれると、担当者が「変更発注書を取る」方向で動いてしまいます。

追加で出した指示

「推測と推奨を削除し、④は表だけにしてください。」

修正版

表だけになった。

人が最後にやること

5件を発注部門に聞くと、3件は追加作業(変更発注書を取る)、1件は請求書の間違い(取引先に再発行を頼む)、1件は発注書の側が古い版。それぞれ揃えてから承認に回します。

5. エラーと例外 ― うまくいかないとき

  • 検収の記録が「メールで完了報告」しかない … それも検収の記録。メールの日付と送信者の職位を所在に書きます。
  • 定期の契約(月額のサービス)で、毎月の検収がない … 契約書と、サービスが提供された事実(利用の記録)を検収の代わりにするか、責任者が決めて3点の定義に書きます。
  • 支払日直前に一覧を作って、揃える時間がない … 支払日の5営業日前に回します。揃わない支払は次回に回す、を決まりにします。
  • AIがまた判断や推測を書く … 削除。毎回。

6. 検証 ― 正しいとどう言えるか

  1. 承認に回した支払すべてに、3点の有無の一覧が付いているか。
  2. 3点が揃っていない支払が、責任者の例外の記録なしに承認されていないか。
  3. 承認者からの「発注書は?」の差し戻しが減ったか。
  4. 一覧に、AIの判断や推測が混ざっていないか。

7. 注意点

相手先名・口座番号・書類そのものはAIに渡しません。記号と金額と有無だけ。社内ルールで確認してください。
揃っていない支払を認めるかは責任者、承認は決裁者。AIの「保留すべき」は判断ではありません。
金額の違いの理由を推測しません。発注部門に聞きます。この活用例の設例は架空です。

8. After ― 翌月以降、何が変わるか

  • 承認者からの差し戻しが、承認の前に担当者の手で片づきます。
  • 発注の記録がない支払が、支払の5営業日前に見つかります。
  • 請求が発注を上回る支払が、理由つきで承認に回ります。
  • 内容の区分ごとの「揃っている率」が、発注部門との話の材料になります。
明日の仕事で試すこと
  • 次の支払予定から3件選び、請求書・発注(契約)・検収の3点がどこにあるかを探す
  • 3点とも5分以内に見つかるかを試す
  • 見つからない書類が、一覧の最初の「なし」

応用 ― 難易度を上げる場合

二重払いと振込先は支払う前に、二重払いと振込先の変更を自分で止める、請求書と契約の条件は請求書の条件が契約書・発注書と違う箇所を、支払前に洗い出すへ。決裁基準との突合は決裁基準(金額・承認者)と実際の承認記録を突き合わせ、基準と違う承認を出す。