経理に関わる規程の改定を、「何を・なぜ・いつから・誰に周知したか」の履歴にして、周知されていない改定を出す
経理規程・旅費規程・購買規程などの改定について、「改定した条項/改定の理由/施行日/承認(機関と日付)/周知した相手と方法と日付/関連する手順書の更新の有無」を1件ずつ履歴にし、周知の記録がない改定と、手順書が更新されていない改定をAIに出させる方法です。整理と抽出はAI、改定の内容と承認は規程の所管、周知の方法は責任者。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。経理規程・旅費規程・購買規程は、規程と実務のずれの点検と、規程の間の矛盾の洗い出しで整えてきました。改定はしている。でも。
- 規程を改定したのに、現場が古い手順で動いていた。改定を知らなかった。周知したつもりが、メール1通だった。
- 改定の理由が残っていない。「なぜこの条項を変えたのか」を、半年後に誰も説明できない。
- 規程は直したが、その規程に基づく手順書(経費精算の手引きなど)が古いまま。現場は手順書を見ている。
- 監査法人や監査役に「この改定はいつ、誰が承認しましたか」と聞かれて、議事録を探している。
規程の内容は所管の話。この記事でやるのは、改定を1件ずつ履歴にして、「周知されていない」「手順書が古い」を見えるようにすることです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) 履歴の型を決める … 規程名/改定した条項(番号と見出し)/改定の要旨/理由/施行日/承認(機関・日付)/周知(相手・方法・日付)/関連する手順書と更新の有無/改定の担当(職位)。
(b) 過去2年の改定について、規程の改定履歴・議事録・周知のメールから履歴を埋める … 人。
(c) ①周知の記録がない改定、②手順書が更新されていない改定、③施行日が承認日より前の改定、④同じ条項が短い間に何度も改定されているもの、を出す … AI。
(d) ①は周知し直す、②は手順書を直す、③④は理由を確かめる … 責任者と所管。
(e) 新しい改定のたびに履歴に1行足し、半年に1回(c)を回す … 担当者。
改定の内容を決めること、承認すること、周知の方法を決めること。履歴は「何を・なぜ・いつ・誰に」を残すだけで、改定そのものは所管と承認機関の話です。AIに規程の条文の中身を渡して「この改定は妥当か」を聞きません。渡すのは条項の番号と見出しと要旨だけ。それから、周知の相手は部門名で、個人名は渡しません。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 議事録・周知メールの要旨(職位・部門に置き換えたもの)から、履歴の行を作る
- 周知の記録がない改定、手順書が未更新の改定、日付の順序がおかしい改定、短期間の再改定を出す
- 規程ごと・年ごとの改定件数の集計
- 監査法人・監査役向けの「改定一覧」の書式
- 改定の内容と理由の記入(所管)
- 周知の方法と相手(責任者)
- 手順書の更新(手順書の所管)
- 日付の順序がおかしい改定の理由の確認と是正
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 改定の記録の要旨
過去2年の改定について、規程名・条項・要旨・施行日・承認の議事録の日付・周知メールの日付と宛先(部門)・手順書の名前。条文の全文と個人名は渡しません。
往復1回目 ― AIが「理由」を埋めた
①の「理由」の列が、要旨から推測した文(「経費精算の効率化のため」「不正防止のため」など)で埋まっていた。
理由は空欄のまま、と頼んだのに埋まっています。推測の理由が履歴に残ると、所管が書く本当の理由(「監査法人の指摘」「税務調査での確認事項」など)と入れ替わります。禁止事項に書いていてもこうなります。
「理由の列を空欄に戻してください。」
①は30件、理由は空欄。②は周知の記録がないのが11件。③は手順書が古いのが7件。④は施行日が承認日より前が2件、1年以内の再改定が3組。
理由は所管に書いてもらいます。②の11件は、責任者が「周知し直す」を決め、部門会議で説明して日付を記録。③の7件は手順書の所管に更新を頼みます。
往復2回目 ― 「施行日が承認日より前」
④の2件について、「承認前に施行されており、手続上の不備です。事後承認の記録を作成してください」と付いていた。
2件の事実は重要。「不備」「事後承認の記録を作成」は評価と対応の指示で、1件は記録の日付の書き間違い(承認は施行の前だった)でした。もう1件は本当に順序が逆で、それをどう扱うかは責任者と承認機関の話。
「評価と指示を削除し、④は表だけにしてください。」
表だけになった。
1件は議事録を確かめて日付を直します。もう1件は責任者が承認機関に報告し、扱いを決めてもらいます。再改定の3組は、所管に「なぜ短期間に2回か」を聞いて、理由を履歴に書きます。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- 過去の改定の記録が散っていて集められない … 集められた分から始めます。「記録なし」も履歴の1行。
- 周知したが記録がない(口頭・会議) … 会議の議事録の日付を周知の記録にします。なければ「周知の記録なし」として、次に周知するときに記録を残します。
- 手順書がそもそもない規程 … 「手順書なし」と書きます。手順書が要るかは所管の判断。
- AIがまた理由を埋める、評価や指示を書く … 戻す・削除。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- 履歴のすべての改定に、理由・承認・周知の記録があるか。空欄が「記録なし」と明記されているか。
- 手順書が古い改定が、更新されたか、更新の予定日があるか。
- 「この改定はいつ誰が承認したか」に、履歴の1行で答えられるか。
- 履歴に、AIの推測の理由や評価が混ざっていないか。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 改定が、「何を・なぜ・いつ・誰に」つきで1行に残ります。
- 周知されていない改定が見え、現場が古い手順で動く期間が短くなります。
- 規程と手順書のずれが、改定のたびに確かめられます。
- 監査法人・監査役への「改定一覧」が、履歴から出せます。
- 直近に改定した規程の条項を1つ思い出し、周知のメールか議事録を探す
- 3分で見つからなければ、それが「周知の記録なし」の最初の行
- その条項に基づく手順書が、改定後に更新されたかを見る
応用 ― 難易度を上げる場合
規程と実務のずれは経理規程と実務のずれを、規程の条文ごとに点検する、規程の間の矛盾は経理に関わる規程(経理・購買・旅費・与信)の間で矛盾している箇所を洗い出すへ。決裁基準との突合は決裁基準(金額・承認者)と実際の承認記録を突き合わせ、基準と違う承認を出す。