月次決算 › 変動分析・報告活用案

締め後に入れた修正仕訳を、理由・依頼者・影響科目つきの一覧にして翌月に活かす

月次を締めたあとに入れた修正仕訳(数字の直し・科目の付け替え・遡り修正)を「仕訳番号/金額/理由/依頼者/影響した科目と報告」の一覧にし、3か月分から「毎月起きている修正」をAIに出させる方法です。一覧の整理と集計はAI、理由を書くのと締めの手順を変えるかは人。

AI操作難易度★☆☆☆☆ 経理財務 実務難易度★★☆☆☆ 使う道具チャット型AI+Excel

1. Before ― 手元はどうなっているか

架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。月次は営業日で6日目に締め、7日目に報告します。ただ、締めたあとに修正仕訳が入ります。

  • 報告した数字と、翌週の帳簿が違う。締め後に外注費の科目が付け替えられ、部門別損益が動いた。報告を受けた側は知らない。
  • 修正の理由が仕訳の摘要に「修正」としか書いていない。誰が、なぜ頼んだのかが残っていない。
  • 同じ修正が毎月起きている気がする。営業からの「案件の部門を直して」が毎月。締めの前に直せるはずなのに。
  • 監査法人から「締め後の修正の一覧を」と言われて、仕訳日付で絞って探した。理由は答えられなかった。

やりたいのは、締め後の修正仕訳を理由つきの一覧にし、毎月起きている修正を締めの手順に取り込むことです。

2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか

(a) 締め後の仕訳を抽出する … 締め日以降に入力された、当月日付の仕訳。会計システムから。
(b) 各仕訳に「理由」「依頼者(部門)」「影響した科目・部門」「報告済みの数字への影響」を書く … 理由と依頼者は人。影響はAI(仕訳から)。
(c) 3か月分を並べて、「毎月起きている修正」「同じ依頼者からの修正」を出す … AI。
(d) 毎月起きている修正を、締めの前の手順に入れる … 人。上司と。
(e) 報告済みの数字に影響した修正は、報告先に伝える … 人。

ここはAIを使わない

修正の理由を書くこと、修正を認めるかどうか。AIに仕訳を見せて「理由を推定して」と頼むと、「科目の誤りの訂正と思われる」のような理由が付きますが、それは依頼者に聞いた理由ではありません(判断メモと同じ)。理由は依頼者と担当者が書く。締め後に修正を入れるかどうか、翌月に回すかどうかも、上司が決めること。AIに任せるのは、仕訳から影響を整理し、3か月分を集計するまで。

3. AIに任せること/人が判断すること

AIに任せる
  • 締め後の仕訳から、影響した科目・部門と金額を整理する
  • 報告済みの資料(部門別損益・主要科目)のどの数字が動いたかを示す
  • 3か月分の一覧から、毎月起きている修正・同じ依頼者からの修正を出す
  • 監査法人に渡す「締め後修正の一覧」の形に整える
人が判断する
  • 修正の理由と依頼者の記録
  • 締め後に修正を入れるか、翌月に回すか(上司)
  • 報告先への訂正の連絡
  • 毎月の修正を締め前の手順に入れるか

4. 実行 ― AIとのやりとり

準備 ― 締め後の仕訳と、報告した資料

締め日以降に入力された当月日付の仕訳(仕訳番号/入力日/科目/部門記号/金額/摘要)に、担当者が「理由」「依頼者の部門」を書き足したもの。報告した部門別損益の主要数字。金額は千円単位。

用語:チャット型AIだけで完結する使い方です。部門は記号、金額は千円単位。理由は人が書いてから渡します。用語集
最初にAIへ出す指示(そのまま貼って使えます)【場面と読み手】 私は経理担当です。月次を締めたあとに入れた修正仕訳を、影響と理由つきの一覧にし、毎月起きている修正を見つけたいと考えています。読み手は私・上司・監査法人です。 【事実/入力】 ・以下に、今月の締め後の仕訳(仕訳番号/入力日/科目/部門記号/金額/摘要/理由/依頼者の部門)を貼ります。理由と依頼者は私が書きました ・以下に、報告した部門別損益の主要数字(千円単位)を貼ります ・以下に、過去2か月の締め後修正の一覧を貼ります 【依頼】 ①今月の修正仕訳ごとに、影響した科目・部門・金額と、報告済みの数字のどれが動いたかを示してください ②3か月分を並べ、毎月起きている修正(同じ科目・同じ依頼者・同じ理由)を出してください ③監査法人に渡す一覧(仕訳番号/入力日/科目・部門/金額/理由/依頼者)の形に整えてください 【出力の型】 ①表:仕訳番号/影響した科目・部門/金額/報告済みの数字への影響(あり:どの数字がいくら動いたか/なし) ②表:修正の種類/回数(3か月)/依頼者の部門/理由(原文) ③表 【禁止事項】 ・理由を推測して書き換えないでください(私が書いた理由をそのまま使ってください) ・修正が適切かどうかの評価を書かないでください ・貼っていない仕訳を足さないでください

往復1回目 ― AIが理由を書き換えた

AIの初稿

私が「営業から部門違いの連絡。案件Pは営業2部」と書いた理由が、「部門コードの入力誤りの訂正」に言い換えられていた。①は正確だった。

ここが問題

言い換えると「営業からの連絡」という事実が消えます。誰が発端かは、締め前に直す手順を作るときに要ります。禁止事項に書いていてもこうなります。

追加で出した指示

「理由は私が書いた原文のまま使ってください。言い換えないでください。」

修正版

原文のままになった。今月の締め後修正は7件、うち報告済みの数字に影響したもの3件(部門別損益の営業1部と2部の外注費)。

人が最後にやること

影響した3件を、報告先(経営会議の事務局)に「締め後に部門の付け替えがあり、営業1部と2部の外注費が動きました」と伝えます。報告した数字と帳簿が違うことを、聞かれる前に言う。

往復2回目 ― 毎月起きている修正

AIの初稿

②で「案件の部門の付け替え:3か月で9回、依頼者は営業1部・2部、理由は毎回『営業から部門違いの連絡』」が出た。「締め前に営業に確認する手順を追加すべきです」と付いていた。

ここが問題

9回という事実は、これが見たかったもの。「追加すべき」は判断で、上司と営業で決めること。ただし、判断の材料としては十分。

追加で出した指示

「提案の記述を削除し、②は集計の表だけにしてください。」

修正版

表だけになった。

人が最後にやること

上司と営業に9回の事実を見せて、「案件の部門は、締めの2日前に営業が一覧で確認する」を締めの手順に入れます。来月から、締め後の付け替えが減ります。判断は上司と営業、材料は一覧。

5. エラーと例外 ― うまくいかないとき

  • 締め後の仕訳が抽出できない(入力日が残らない) … 会計システムの設定を確認します。入力日が残らないなら、締め後の仕訳は別の伝票番号の範囲に入れる運用にします。
  • 理由を書く時間がない … 修正を頼まれたときに、依頼のメールの件名を摘要に貼るだけでもよい。あとから書くより、そのとき1行。
  • 修正が多すぎて締めの意味がない … 締め日を1日遅らせるか、締め前の確認を増やすか、上司と決めます。一覧があれば、どちらが効くかが分かります。
  • AIがまた理由を言い換える … 「原文のまま」を毎回入れます。

6. 検証 ― 正しいとどう言えるか

  1. 締め後の修正仕訳の全件に、理由と依頼者が書かれているか。AIの言い換えが混ざっていないか。
  2. 報告済みの数字に影響した修正を、報告先に伝えたか。
  3. 毎月起きている修正について、締め前の手順を変えたか。
  4. 3か月後、締め後の修正の件数が減ったか。

7. 注意点

仕訳には部門・案件・金額が入ります。部門は記号、金額は千円単位。社内ルールで確認してください。
理由はAIに書かせません。依頼者と担当者が書きます。
締め後の修正を入れるかどうかは上司が決めます。一覧は、その判断の材料。この活用例の設例は架空です。

8. After ― 翌月以降、何が変わるか

  • 「締め後の修正の一覧を」に、理由つきの一覧で答えられます。
  • 報告した数字と帳簿が違うことを、聞かれる前に伝えられます。
  • 毎月起きている修正が、締め前の手順に取り込まれて減ります。
  • 締めの精度が上がり、締め日を早める議論の材料になります。
明日の仕事で試すこと
  • 先月の締め日以降に入力した、先月日付の仕訳を数える
  • そのうち3件について、「理由」と「誰が頼んだか」を1行ずつ書いてみる
  • 書けない仕訳が、来月から摘要に理由を書き始める理由

応用 ― 難易度を上げる場合

締め前の自己点検は月次を締める前に、自分で10分だけ見直したいとき、判断の記録は今月やった判断を、来月の自分が読めるメモにする、締めの詰まりは月次のどこが詰まっているかを見つけるへ。