入金予定と入金実績の差を、月次で「早い・遅い・分割・過不足」に分けて営業に聞く一覧にする
請求時に決まっている入金予定日・予定額と、実際の入金日・入金額を月次で突き合わせ、差を「予定より早い」「遅い」「分割で入った」「金額が多い・少ない」の4つに分け、営業に聞く先を顧客ごとにまとめる方法です。突合と分類はAI、理由の確認は営業、督促や条件変更の判断は経理責任者と営業。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のIT企業、サンライズソリューションズ株式会社。入金の消込は毎日やっています(どの請求か分からない入金は別記事)。消込が終わると、その月の入金の話は終わり。でも、こういうことが残ります。
- 予定より10日遅れて入った顧客がいるが、遅れた理由を誰も聞いていない。翌月も遅れる。
- 1つの請求が3回に分けて入金された。消込はできたが、分割の約束をした覚えがない。営業が口頭で受けていた。
- 予定額より少なく入った。差額は手数料か、値引きか、間違いか。消込のときに「差額」で処理して、そのまま。
- 予定より早く入る顧客もいる。資金繰りの予定が、その分ずれている。
消込そのものの話ではありません。この記事でやるのは、月に1回、予定と実績の差を4つに分けて、営業に「これは?」と聞く一覧にすることです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) 請求一覧(請求No./顧客記号/入金予定日/予定額)と、消込済みの入金一覧(請求No./入金日/入金額)を集める … 人。
(b) 請求No.で突き合わせ、差を4つに分ける … AI。①早い(予定日より前)、②遅い(予定日より後)、③分割(1つの請求に複数の入金)、④過不足(予定額と入金額の合計が違う)。
(c) 顧客ごとに、4つのどれが何件あるかをまとめ、先月の一覧と比べて「2か月続けて同じ差」の顧客を出す … AI。
(d) 営業に、顧客ごとの1行で理由を聞く … 経理。
(e) 理由に応じて、入金予定日を直す・分割を契約に書く・差額の処理を決める … 経理責任者と営業。
差の理由を決めること、督促するかどうか、条件を変えるかどうか。「遅い」の理由は、顧客の締め日の違いかもしれないし、請求書の不備かもしれないし、支払の意思の問題かもしれません。営業が聞いて、責任者が決めます。AIに理由を推測させません。それから、顧客名は記号に置き換えます(社内ルール)。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 請求一覧と入金一覧を請求No.で突き合わせ、差を4つに分ける
- 顧客ごとの件数と、差の日数・金額の集計
- 先月の一覧と比べて、2か月続けて同じ差が出ている顧客を出す
- 営業に聞く1行(顧客記号・請求No.・差の種類・事実)の下書き
- 差の理由(営業が顧客に聞く)
- 督促するかどうか(責任者)
- 入金予定日の直し方、分割を契約に書くか(責任者と営業)
- 差額の処理(経理)
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 請求一覧と入金一覧
今月に入金予定だった請求と、今月の入金。顧客は記号。請求No.が共通していることが前提。
往復1回目 ― AIが「理由」を書いた
②で顧客C12が「遅い 4件、平均12日」。④の1行に「C12は支払サイトが自社の請求条件と合っていない可能性があるため、契約条件の確認を推奨」と付いていた。
4件・12日は見たかったもの。「支払サイトが合っていない」は理由の推測で、営業に聞く前に一覧に書かれると、営業がその前提で顧客に聞いてしまいます。禁止事項に書いていてもこうなります。
「理由と推奨の記述を削除し、④は事実だけにしてください。」
①は120件のうち差ありが31件。②は顧客16社。③は2か月続けて「遅い」が3社、「分割」が1社。④は16行。
営業に④を送ります。C12の返事は「顧客の検収が月末で、うちの請求日が月初なので、毎月構造的に10日ずれる」。理由が分かったので、責任者と相談してC12の入金予定日の付け方を変えます。督促ではありません。
往復2回目 ― 「分割」の扱い
①で、請求No.R-0451に入金が2件あり「分割」。ただ、2件目の入金は予定額との差額ちょうどで、AIは「分割かつ過不足なし」とした。一方、R-0472は入金が2件で合計が予定額より少なく、「分割」だけで「過不足」が付いていなかった。
複数の種類が当てはまる場合はすべて付ける、と頼んだのに、R-0472に「過不足」が付いていません。分割で入って、しかも足りない、が一番聞きたい組み合わせです。
「入金額の合計が予定額と違う請求には、分割かどうかにかかわらず必ず『過不足』を付けてください。」
R-0472が「分割・過不足」になり、同じ条件の請求が他に2件見つかった。
3件を営業に聞くと、1件は顧客が振込手数料を引いていた(契約では顧客負担ではない)、2件は営業が口頭で分割と一部値引きを受けていた。手数料の1件は経理が差額の処理を決め、値引きの2件は責任者が「口頭で受けない」を営業と決めます。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- 請求No.が入金一覧にない(消込が請求No.でされていない) … 先に消込のやり方を請求No.単位に直します。この記事はその後。
- 差ありが多すぎて営業に聞ききれない … ③の「2か月続けて」の顧客だけ先に聞きます。単発の差は翌月に消えることも多い。
- 営業が「理由は分からない」と返す … それも記録します。「分からない」が3か月続く顧客は、責任者が営業の責任者と話します。
- AIがまた理由や提案を書く、種類を付け落とす … 削除・付け直し。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- 差ありの請求すべてに、4つのうちどれかが付いているか。複数の場合は複数付いているか。
- 2か月続けて同じ差の顧客すべてに、営業からの理由の回答があるか。
- 理由が分かった顧客の入金予定日が、翌月に直っているか。翌月の「遅い」が減ったか。
- 一覧に、AIの理由の推測や督促の提案が混ざっていないか。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 入金の差が、消込で流れず、月に1回、種類ごとに営業に聞かれます。
- 構造的にずれる顧客の入金予定日が直り、資金繰りの予定の精度が上がります。
- 口頭の分割・値引きが、発生した月に見つかります。
- 「2か月続けて」の一覧が、営業との定例の議題になります。
- 先月の入金で、予定日から5日以上ずれた請求を3つ探す
- その理由を知っているか、自分に聞く
- 知らなければ、それが営業に聞く最初の3行
応用 ― 難易度を上げる場合
どの請求か分からない入金は入金があったが、どの請求か分からないとき、滞留の管理は滞留債権の年齢調べを行い、督促文案を用意するへ。与信の見直しは与信限度額と直近の売掛残高・入金遅れを並べて、見直し候補を出す。