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経理の仕事を「やめる・減らす・まとめる・任せる」に仕分ける

棚卸し表に「仕分け」の列を足し、承認・確認の工程を先に人が「残す」と書いてから、残りを4つに仕分ける方法です。仕分け案はAI、「残す」の指定と「やめる」の最終判断(出力を1か月追う)は人が行います。

AI操作難易度★☆☆☆☆ 経理財務 実務難易度★★★★☆ 使う道具チャット型AI+Excel

1. Before ― 手元はどうなっているか

サンライズソリューションズ株式会社。連作①で棚卸し表ができ、②で属人化が1つ減り、③で締めの鎖が見えました。部長が言います。「じゃあ、この70行、減らせないのか」。

  • 減らしたい気持ちはある。ただ、どれを減らしていいかわからない。
  • 「これ何のためにやってるんだっけ」という作業が、いくつかある。前任者から引き継いだままのもの。
  • やめて怒られるのが怖い。誰かが使っているかもしれない。
  • 逆に、「チェック」と名のつく作業を減らそうとして、上司に止められたことがある。減らしていい作業と、減らしてはいけない作業の区別が、自分の中にない。

減らす話は、「減らす」の一言では進みません。4つに分けると進みます。

2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか

棚卸し表に列を1つ足します。仕分け。値は4つ。

やめる … 出力を誰も使っていない作業
減らす … 頻度を落とす、対象を絞る(毎月→四半期、全件→金額の大きいものだけ)
まとめる … 同じ入力を使う作業を1つにする、2人でやっているものを1人にする
任せる … 他部署・システム・ツールに移す

そして、4つのどれにも入れてはいけないものがあります。承認と確認の工程。「上司が承認する」「別の人が確認する」という作業は、遅く見えても、減らすと間違いがそのまま通ります。これは仕分けの対象から外して、「残す」と書きます。

ここはAIを使わない

「残す」を決めること。AIに仕分けを頼むと、「二重チェックは非効率なので『減らす』」と言います。AIは、そのチェックが去年何を止めたかを知りません。承認・確認の工程は、AIに仕分けさせる前に、人が「残す」と書いてから渡します。それと、「やめる」の最終判断。出力を誰も使っていないかは、1か月追わないとわかりません。

3. AIに任せること/人が判断すること

AIに任せる
  • 「残す」を人が書いた後の棚卸し表について、残りの行を4つに仕分けた案を出す
  • 仕分けの理由を、表の情報(何を見て/何を出すか/できる人)から1行で書く
  • 「やめる」候補について、「出力を誰が使っているかを確認する相手」を挙げる
  • 「まとめる」候補について、まとめた後の1行の案を書く
人が判断する
  • 「残す」の指定(承認・確認の工程)
  • 「やめる」候補の出力を、1か月追う
  • 仕分けの最終決定
  • 実際にやめる・減らす・まとめる・任せる

4. 実行 ― AIとのやりとり

準備 ― 先に「残す」を書く

3人で棚卸し表を見て、「承認」「確認」「チェック」「照合」が入っている行に「残す」と書きます。理由も1行(「去年、二重払いをここで止めた」など)。この作業をAIより先にやります。

作業誰がいつ何を見て何を出すかできる人前の工程待つ相手仕分け
支払前の二重払いチェックC月中支払一覧、前月の支払一覧チェック済み一覧B・C支払一覧の作成—残す(去年、二重払いをここで止めた)
仕訳の上長承認部長締め日前仕訳一覧承認済み仕訳部長各仕訳の起票—残す
部門別経費一覧を作って共有フォルダに置くC締め日後経費仕訳部門別経費一覧(Excel)A・C経費集計—(空欄)
取引先別の売上集計を作るA締め日後売上仕訳取引先別売上集計A売上仕訳—(空欄)

棚卸し表の例(架空。抜粋)

用語:チャット型AIだけで完結する使い方です。渡すのは「残す」を書き込んだ棚卸し表だけで、人名はA・B・Cにします。用語集
最初にAIへ出す指示(そのまま貼って使えます)【場面と読み手】 私は経理担当です。経理3名の月次作業(約70行)を見直し、減らせるものを見つけたいと考えています。読み手は経理3名と部長です。 【事実/入力】 ・以下に、棚卸し表(作業/誰が/いつ/何を見て/何を出すか/できる人/仕分け)を貼ります ・「仕分け」列に「残す」と書いてある行は、承認・確認の工程です。この行は対象外です。触らないでください ・残りの行の「仕分け」列は空欄です 【依頼】 空欄の行を「やめる/減らす/まとめる/任せる」の4つに仕分けた案を作ってください。どれにも当てはまらない行は「不明」としてください。 【出力の型】 表:作業/仕分け案/理由(表の情報から1行)/確認する相手 「やめる」は、出力を誰が使っているかを確認する相手を必ず書いてください。 【禁止事項】 ・「残す」の行を、別の仕分けに変えないでください ・表にない作業や、一般的な効率化の提案を足さないでください ・「非効率」「無駄」という言葉を使わないでください

往復1回目 ― AIが「残す」を減らした

AIの初稿

仕分け案は出た。ただし「残す」と書いた行のうち2行が「減らす(頻度を四半期に)」に変わっていた。「支払前の二重払いチェック」と「仕訳の上長承認」。

ここが問題

禁止事項に書いてもこうなります。チェックと承認は、AIから見れば「時間がかかるのに出力がない」作業に見えます。去年、二重払いチェックが1件止めたことを、AIは知りません。

追加で出した指示

「『残す』の行が2行、別の仕分けに変わっています。『残す』に戻してください。以後、『残す』の行には一切触れないでください。」

修正版

2行が「残す」に戻った。

人が最後にやること

戻ったことを確認します。ここを見落として部長に出すと、「チェックを四半期に減らす」案が独り歩きします。

往復2回目 ― 「やめる」候補

AIの初稿

「やめる」候補が5件。「月次の部門別経費一覧(Excel)を作って共有フォルダに置く」「取引先別の売上集計を作る」など。理由は「出力の使用先が表に書かれていない」。確認する相手は「共有フォルダを見ている部署」。

ここが問題

理由は正しい(表に「誰が使うか」を書いていないので)。ただし、「表に書かれていない」=「誰も使っていない」ではありません。ここで「やめる」と決めると、翌月に営業から「あの一覧どこ行った」と来ます。

追加で出した指示

「『やめる』ではなく『やめる候補(1か月、使っているかを確認)』に変えてください。確認の方法を1行で添えてください。」

修正版

5件が「やめる候補」になり、確認の方法として「共有フォルダに置く際、ファイル名に『※10月末で作成終了予定。使っている方は経理まで』と入れる」が付いた。

人が最後にやること

5件のファイル名に、その一文を入れて1か月置きます。連絡が来なければやめる。来たら、その人に「残す理由」を聞いて、表に書きます。この架空例では、5件のうち3件は連絡がなく、やめました。2件は経営企画が使っていて、残しました。

往復3回目 ― 「まとめる」の1行案

最後に、次のように頼みます。「『まとめる』候補について、まとめた後の作業を1行で書いてください。誰がやるかは書かないでください(それは3人で決めます)。」

AIが出した1行案

まとめる候補:「営業の検収一覧の妥当性確認(Bさん)」+「検収一覧と売上仕訳の突合(Aさん)」→ まとめた後:「検収一覧を先月分と比較して差分を確認し、そのまま売上仕訳を起票する(他部署から来た数字が、合っているのかわからないときの型を使う)」

人が最後にやること

まとめた後の1行を、来月1回やってみます。やってみて戻したくなったら戻す。仕分けは1回で決めません。

5. エラーと例外 ― うまくいかないとき

  • 「残す」がAIに何度も変えられる … 「残す」の行を表から抜いて、残りだけ貼ります。AIに見せなければ変えられません。
  • 「やめる」候補に連絡が来て、全部残った … それが実態です。表に「使っている人」を書き足せば、次から迷いません。
  • 「任せる」先がない … 「任せる」は、他部署・システム・ツールのどれか。どれもなければ「不明」のまま置きます。無理に仕分けない。
  • 部長が「もっと減らせ」と言う … 70行のうち、「残す」が何行で、その理由が何かを見せます。減らせない理由が書いてあれば、話が進みます。
  • やめた作業を、半年後に誰かが探しに来た … やめた日と理由を表に残しておきます。「10月末に終了。理由:1か月確認して使用者なし」と書いてあれば、復活の判断が早い。

6. 検証 ― 正しいとどう言えるか

  1. 「残す」の行が、AIの出力で1つも変わっていないか。
  2. 「やめる」を、1か月の確認なしに実行していないか。
  3. やめた作業・まとめた作業について、「いつ・なぜ」が表に残っているか。
  4. 3か月後、70行が何行になったか。減っていなくても、「残す」に理由がついていれば、それは成果です。

7. 注意点

承認・確認の工程を減らしません。減らすなら、それを止めたことがある人(上司)と一緒に決めます。
「やめる」は、確認してから。表に書いていない=使っていない、ではありません。
仕分けは1回で決めません。やってみて戻すのは失敗ではありません。やめた記録を残します。復活させるときに、理由がわかります。棚卸し表の人名はA・B・Cにして渡します(社内ルール)。
この活用例の設例は架空です。

8. After ― 翌月以降、何が変わるか

  • 「減らせないのか」に対して、「残す」の理由つきで答えられます。
  • 誰も使っていなかった作業が、確認のうえで消えます。
  • 同じ入力を使う2つの作業が1つになり、2人の時間が1人分になります。
  • 棚卸し表が、作業一覧から「なぜこの作業があるか」が書かれた表に育ちます。これが、次の担当者への一番の引き継ぎ資料になります。
明日の仕事で試すこと
  • 自分の作業のうち、「承認」「確認」「チェック」が入っているものに「残す」と書く
  • 残りから、「これ誰が使ってるんだろう」と思う出力を1つ選ぶ
  • そのファイル名に「※使っている方は経理まで」と入れて、1か月待つ

応用 ― 難易度を上げる場合

棚卸し表がまだない場合は連作①月次の作業を「誰が・いつ・何を見て・何を出すか」で棚卸しするから。仕分けをして、「任せる」先としてシステムが視野に入ってきたら、現行業務をAIに説明して、改善案とRFP項目まで作るへ。システム更改まで視野に入れるときはそちらです。ここまでの連作①〜④でできた棚卸し表は、あちらの「現行業務の書き出し」がすでに終わった状態なので、そのまま使えます。