仮払金・仮受金の残高を、発生日・相手・理由つきの一覧にして精算候補を出す
仮払金・仮受金の残高明細を、発生日/相手/発生時の理由/担当/経過月数の一覧にし、「3か月を超えたもの」「理由が書かれていないもの」「同じ相手で仮払と仮受が両方あるもの」をAIに出させる方法です。整理と抽出はAI、精算の中身(どの科目に振り替えるか)と相手への確認は人、科目の判断はAIにさせません。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。仮払金(出張の前渡し、内容未確定の支払)と仮受金(内容不明の入金、精算待ちの受取)が、月末に残ります。
- 仮払金の残高明細に、1年前の出張前渡しが残っている。本人は精算したつもりで、仕訳が仮払金を消していない。
- 仮受金に、相手不明の入金が半年前からある。営業に聞いたが、返事がなく、そのまま。
- 「なぜ仮払にしたか」が、仕訳の摘要にない。精算しようにも、何の支払だったか分からない。
- 監査法人から「仮払金・仮受金の内訳と精算の見込み」を聞かれて、明細を印刷して渡した。見込みは答えられなかった。
どの科目に振り替えるかは、内容を確かめた人が決めること。この記事でやるのは、残高を理由つきの一覧にし、精算すべきものを月次で出すことです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) 残高明細を出す … 仕訳番号/発生日/相手記号/金額/摘要/担当。
(b) 各行に「発生時の理由」「精算の予定(誰が・いつ)」を書く … 人。摘要から分かるものはAIが転記。
(c) 3か月超/理由が空欄/同じ相手で仮払と仮受が両方/金額が同じで符号が逆(相殺されるべき)を出す … AI。
(d) 出た行を、担当者・営業に確認し、精算する … 人。
(e) 精算できないものは、上司と扱いを決める … 人。
精算の仕訳(どの科目に振り替えるか)と、精算できない残高の扱い。AIに「この仮払金はどの科目に振り替えるべきか」と聞くと、摘要から科目を当ててきますが、それは内容を確かめた人が決めることです(科目の候補出しの考え方)。精算できない残高をどうするかは上司と、金額が大きければ監査法人と。AIに任せるのは、一覧の整理と、精算候補の抽出まで。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 残高明細を一覧の型に整え、摘要から読み取れる理由を転記する(読み取れないものは空欄)
- 経過月数を計算し、3か月超・理由空欄・同じ相手の仮払と仮受・相殺候補を出す
- 担当者・営業への確認文の下書き
- 監査法人に渡す「内訳と精算の予定」の一覧の形に整える
- 発生時の理由(担当者に聞く)と精算の予定
- 精算の仕訳(科目)
- 相手不明の入金の扱い(営業・上司)
- 精算できない残高の扱い(上司・監査法人)
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 残高明細
仮払金・仮受金の残高明細(仕訳番号/発生日/相手記号/金額/摘要/担当の職位)。相手は記号、金額は千円単位。先月の一覧があればそれも。
往復1回目 ― AIが理由と科目を埋めた
①の「理由」が空欄のはずの行に「(出張の前渡しと推定)」「(顧客からの前受と思われる)」と入り、「精算先の科目:旅費交通費」の列まで付いていた。
理由の推定が入ると、担当者に聞く前に「そうそう」で流れます。科目は、内容を確かめた人が決めること。禁止事項に書いていてもこうなります。
「( )書きの推定を削除して空欄に戻し、『精算先の科目』の列を削除してください。」
①は仮払金14件、仮受金6件。②は「3か月超 9件」「理由空欄 5件」「同じ相手に両方 1組」「相殺候補 1組」。
③の質問文を担当者と営業に送ります。この架空例では、1年前の出張前渡しは精算済みで仕訳が仮払金を消していなかった(仕訳の修正)、相手不明の入金は別の顧客の前受だった(営業が確認)。理由が分かったものから、科目を決めて精算します。
往復2回目 ― 「同じ相手に仮払と仮受」
②の「同じ相手に両方」は、相手Pに仮払 300 と仮受 300。「相殺して精算可能です」と付いていた。
同じ相手・同じ金額の抽出は、これが見たかったもの。「相殺可能」は判断で、仮払300が立替、仮受300が別件の入金なら、相殺すると両方の中身が消えます。
「『相殺可能』の記述を削除し、事実の表だけにしてください。」
表だけになった。
相手Pの2件を調べると、同じ取引の前渡しと返金で、相殺してよいものでした。ただし、それは調べたから言えること。精算の仕訳を入れ、一覧から消します。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- 摘要に何も書いていない … 今月から、仮払・仮受の仕訳の摘要に「理由と精算予定」を書く運用にします。過去分は担当者に聞くしかない。
- 担当者が退職していて理由が分からない … 「理由不明(担当退職)」と書き、金額と上司の判断で扱いを決めます。監査法人にも伝えます。
- 相手不明の入金が精算できない … 営業・上司と扱いを決めます。長く残すほど分からなくなるので、期限を決めます。
- AIがまた理由や科目を書く … 削除。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- 一覧の理由が、すべて担当者に確かめたものか(AIの推定が残っていないか)。
- 「3か月超」の全件について、精算するか、扱いを決めたか。
- 今月の残高が先月より減ったか。新規の仮払・仮受に理由と精算予定が書いてあるか。
- 監査法人の「内訳と精算の見込み」に、一覧で答えられたか。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 「半年前から減らない残高」が、理由と精算予定つきの一覧になります。
- 3か月超の残高が、毎月の抽出で精算に回ります。
- 新規の仮払・仮受に理由が書かれ、来月の「理由空欄」が減ります。
- 監査法人への内訳の説明が、一覧を見せる1分になります。
- 仮払金の残高明細で、いちばん古い1件を選ぶ
- 「なぜ仮払にしたか」を摘要から読み取れるか見る
- 読み取れなければ、担当者に聞く。それが一覧の最初の「理由」
応用 ― 難易度を上げる場合
相手不明の入金は入金があったが、どの請求か分からないとき、精算の科目に迷ったら経費の科目に迷ったとき、自社の過去仕訳から候補を出すへ。前受金の管理は前受金の残高を、契約ごとの「いつ売上になるか」の一覧にして毎月消し込むと同じ「残高を理由つきで管理する」型です。