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予実差異を「数量・単価・時期のずれ」の3つに分けて、部門長に聞く質問にする

前提(数量×単価)つきの予算と実績を並べ、差異を「数量の差」「単価の差」「時期のずれ(前倒し・後ろ倒し)」に機械的に分けて、部門長に聞く質問文にする方法です。分解と質問文はAI、差異の原因は部門長、AIには原因を書かせません。

AI操作難易度★☆☆☆☆ 経理財務 実務難易度★★★☆☆ 使う道具チャット型AI+Excel

1. Before ― 手元はどうなっているか

架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。予算は「件数×単価」「人数×単価」の前提つきで作っています。月次で予実差異を出し、部門長にコメントをもらいます。

  • コメントが「売上未達のため」「案件の遅れのため」で終わる。差額の言い換えで、何が起きたか分からない。
  • 売上が予算比 −3,000 のとき、件数が少なかったのか、単価が下がったのか、来月にずれただけなのか、区別されていない。対応が全部違うのに。
  • 「時期のずれ」は、翌月に戻ってくる差異。それを「未達」と同じに扱うと、経営が過剰に反応する。
  • 部門長に「なぜ」と聞くと構えられる。「件数は何件でしたか」なら答えやすい。

差異の原因を書くのは部門長。この記事でやるのは、差異を3つに機械的に分けて、部門長が答えやすい質問にすることです。

2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか

(a) 予算の前提(数量・単価)と、実績の数量・単価を並べる … 実績の数量は部門の実績データ(受注件数・稼働人数)から。
(b) 差異を「数量の差」「単価の差」に分ける … 数量の差=(実績数量−予算数量)×予算単価、単価の差=(実績単価−予算単価)×実績数量。AI。
(c) 「時期のずれ」を分ける … 予算では今月だったが、実績は来月に入る予定のもの(案件一覧の納期変更から)。AI。
(d) 3つに分けた結果を、部門長への質問文にする … 「件数が予算より4件少ない。その4件はどの案件か」。AI。
(e) 部門長が答え、それが原因になる … 人。

ここはAIを使わない

差異の原因を書くこと。3つに分けたあと、AIは「単価の低下は競争激化によるものと考えられます」と続けますが、それは推測です。原因は部門長が書きます。AIに任せるのは、分解と質問文まで。それから、「時期のずれ」に入れるかどうかの判断も、案件一覧の納期変更という事実がある場合だけ。「たぶん来月」をずれに入れない。

3. AIに任せること/人が判断すること

AIに任せる
  • 予算の前提と実績の数量・単価から、数量の差・単価の差を計算する
  • 案件一覧の納期変更から、時期のずれに当たる金額を分ける
  • 3つの合計が差異の合計と一致するかを示す
  • 3つそれぞれについて、部門長に聞く事実の質問文を作る
人が判断する
  • 実績の数量・単価のデータ(部門から)
  • 時期のずれとして認める根拠(納期変更の記録)
  • 差異の原因(部門長)
  • 経営への報告の仕方

4. 実行 ― AIとのやりとり

準備 ― 前提つき予算・実績・案件一覧

今月の予算(科目/予算数量/予算単価/予算額)、実績(科目/実績数量/実績単価/実績額)、案件一覧のうち納期が変わったもの(案件記号/予算上の月/実績の月/金額)。部門は記号、金額は千円単位。

用語:チャット型AIだけで完結する使い方です。部門・案件は記号、金額は千円単位。原因はAIに書かせません。用語集
最初にAIへ出す指示(そのまま貼って使えます)【場面と読み手】 私は経理担当です。月次の予実差異を「数量の差」「単価の差」「時期のずれ」の3つに分け、部門長が答えやすい質問にしたいと考えています。読み手は私と部門長です。 【事実/入力】 ・以下に、今月の予算(科目/予算数量/予算単価/予算額)と実績(科目/実績数量/実績単価/実績額)を貼ります(千円単位) ・以下に、案件一覧のうち納期が変わった案件(案件記号/予算上の月/実績の月/金額)を貼ります ・差異の原因は、部門長が書きます 【依頼】 ①科目ごとに、差異を「数量の差=(実績数量−予算数量)×予算単価」「単価の差=(実績単価−予算単価)×実績数量」に分けてください ②納期が変わった案件の金額を「時期のずれ」として、①から分けてください ③3つの合計が差異の合計と一致するかを示してください ④3つそれぞれについて、部門長に聞く質問文を1行ずつ作ってください(「件数が○件少ない。どの案件か」のように、事実を聞く形で) 【出力の型】 ①②③:表:科目/差異合計/数量の差/単価の差/時期のずれ/検算 ④:表:科目/種類/質問文 【禁止事項】 ・差異の原因(競争、営業力、市況など)を推測して書かないでください ・納期変更の記録がない案件を「時期のずれ」に入れないでください ・私が貼っていない数量や単価を作らないでください

往復1回目 ― AIが原因を書いた

AIの初稿

①で売上の差異 −3,000 が「数量の差 −2,400/単価の差 −600」に分かれた。ただし各行に「数量減は新規案件の獲得不足、単価減は値引き対応によるものと考えられる」と付いていた。

ここが問題

分解は正しく、原因は推測です。数量減が「獲得不足」か「納期ずれ」かは、案件一覧を見ないと分からないし、単価減が「値引き」か「案件の構成の違い」かは部門長しか知りません。禁止事項に書いていてもこうなります。

追加で出した指示

「原因の記述をすべて削除し、①〜③は数字の表、④は質問文だけにしてください。」

修正版

②で、納期変更の案件2件(計 1,800)が「時期のずれ」に分かれ、数量の差は −600 に減った。③の検算は一致。④は「件数が予算より1件少ない。どの案件か」「単価が予算より50低い。単価の低い案件はどれか」「案件PとQは来月に納期変更。来月の実績に入る見込みか」。

人が最後にやること

④の3つを部門長に送ります。「なぜ未達か」ではなく「どの案件か」を聞くので、答えが事実で返ってきます。この架空例では、件数の1件は失注、単価は大型案件が来月にずれて小型案件の比率が上がったため、でした。原因は部門長の言葉で書き、経理は書きません。

往復2回目 ― 「たぶん来月」を時期のずれに入れていた

AIの初稿

翌月、②で案件Rが「時期のずれ」に入っていた。案件一覧の納期変更には、Rの記録がない。「実績月が空欄のため、来月にずれたと推定」と付いていた。

ここが問題

記録がないものを「ずれ」に入れると、失注や取消が「来月に戻る差異」に見えます。経営が過小に反応します。禁止事項に書いていてもこうなります。

追加で出した指示

「案件Rを時期のずれから外し、数量の差に戻してください。納期変更の記録がある案件だけをずれにしてください。」

修正版

Rは数量の差に戻り、④に「案件Rは実績月が空欄。納期変更か、取消か」の質問が加わった。

人が最後にやること

部門長に聞くと、案件Rは取消でした。「たぶん来月」が「取消」だった。時期のずれは、記録がある案件だけ。記録のないものは、聞くまで数量の差に置きます。

5. エラーと例外 ― うまくいかないとき

  • 予算に数量・単価の前提がない … 前提つきの予算を先に。前提がないと分解できません。今期は金額の差だけで、来期から。
  • 実績の数量が取れない科目 … 「分解不可」として金額の差のまま。取れるようにするかは部門と。
  • 費用の科目にも使いたい … 人件費(人数×単価)、外注費(工数×単価)は同じ型で分解できます。固定費は分解しません。
  • AIがまた原因を書く … 削除。毎回。

6. 検証 ― 正しいとどう言えるか

  1. 3つの合計が、差異の合計と一致しているか。
  2. 「時期のずれ」に入れた案件に、すべて納期変更の記録があるか。
  3. 表と質問文に、原因の推測が残っていないか。
  4. 部門長のコメントが「未達のため」から「どの案件・どの単価」に変わったか。

7. 注意点

案件別の数量・単価は営業情報です。案件・部門は記号、金額は千円単位。社内ルールで確認してください。
原因はAIに書かせません。部門長が書きます。
「たぶん来月」は時期のずれではありません。記録がある案件だけ。この活用例の設例は架空です。

8. After ― 翌月以降、何が変わるか

  • 「未達のため」が、「1件失注、大型案件が来月にずれ、案件Rは取消」になります。
  • 来月に戻る差異と、戻らない差異が分かれ、経営の反応が適切になります。
  • 部門長への質問が事実を聞く形になり、答えが早く返ってきます。
  • 数量・単価・時期の分解が毎月たまり、「この部門は何で動くか」が見えます。
明日の仕事で試すこと
  • 今月の差異がいちばん大きい科目を1つ選ぶ
  • 予算の数量・単価と、実績の数量・単価を並べ、数量の差と単価の差を自分で計算する
  • 大きい方について、部門長に「どの案件か」と聞く

応用 ― 難易度を上げる場合

前提つきの予算は部門から集めた予算を、前提(人数・単価・件数)つきの表にして、前提のない数字を見つける、分解した差異を経営会議で並べる型は予算と実績の差を、「誰が次に何を決めるか」で並べ直すへ。コメントの書き方は月次決算の変動分析コメントを下書きする。