源泉徴収した支払を、年の途中から「相手・種類・支払月」で積み上げて、年末の資料作りを軽くする
報酬・料金などで源泉徴収した支払を、支払のたびに「相手記号/支払の種類/支払月/支払額/徴収額」の1行で積み上げ、月次で仕訳の預り金の動きと突き合わせて「一覧にない徴収」「相手の登録情報が空欄」をAIに出させる方法です。整理と突合はAI、徴収の要否と種類の判定は税理士と国税庁の公表資料、年末の資料の作成と提出は担当者と税理士。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。個人の講師・デザイナー・士業への支払で源泉徴収をしています。支払のときの要否の確認は候補拾いで回っています。問題は年明け。
- 1年分の支払を、仕訳と請求書から遡って集めている。相手ごと、種類ごとに分けるのに、1月の1週間が消える。
- 相手の登録情報(住所など)が、支払のときに集めていない。年明けに聞くと、連絡がつかない相手がいる。
- 仕訳の預り金の残高と、集めた一覧の徴収額の合計が合わない。どこかで一覧に載せ忘れた支払がある。
- 税理士に渡す資料の形が、毎年その場で決まる。去年の形を思い出すところから。
要否や税率は税理士と原文の話。この記事でやるのは、支払のたびに1行を積み上げ、月次で仕訳と突き合わせて、年明けに遡らなくてよくすることです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) 1行の型を決める … 支払日/相手記号/支払の種類(社内の区分名)/支払額/徴収額/請求書の所在/相手の登録情報が揃っているか(○×)。
(b) 源泉徴収した支払のたびに1行を書く … 支払担当者。
(c) 月次で、一覧の徴収額の合計と、仕訳の預り金(源泉分)の当月の増加を突き合わせ、差があれば「一覧にない仕訳」「仕訳にない一覧」を出す … AI。
(d) 登録情報が×の相手を出し、支払のうちに集める … 担当者。
(e) 年末に、一覧を税理士の指定する形に並べ替えて渡す … 担当者と税理士。
徴収の要否、支払の種類の判定、税率、年末の資料の要件。この記事の一覧は「徴収した支払を漏れなく積む」ためのもので、徴収すべきだったかどうかは税理士と国税庁の公表資料の原文で確かめます。それから、相手の氏名・住所・マイナンバーはAIに渡しません。渡すのは相手記号と金額と日付だけ。登録情報は「揃っているか」の○×だけ。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 1行の型と、月次の突合の手順
- 一覧の徴収額の合計と、仕訳の預り金の当月増加の突き合わせ
- 一覧にない仕訳、仕訳にない一覧の抽出
- 登録情報が×の相手の一覧と、年末に向けた「今年まだ支払がある相手」の絞り込み
- 1行の記入(支払担当者)
- 徴収の要否・種類・税率(税理士と原文で)
- 登録情報の収集(担当者が相手に直接)
- 年末の資料の形と提出(担当者と税理士)
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 一覧と、仕訳の預り金の動き
今月までの一覧(相手は記号、種類は社内の区分名)と、仕訳から抜いた預り金(源泉分)の当月の増加の明細(日付/金額/摘要の一部)。氏名・住所・番号は渡しません。
往復1回目 ― AIが「税率が違う」と書いた
①で差額が1件分。②で仕訳にあって一覧にない支払が1件(9/12、講師記号K7)。その行に「なお、一覧の相手K3の徴収額は支払額に対して一般的な税率と異なるため、計算誤りの可能性があります」と付いていた。
一覧にない1件は、見たかったもの。「一般的な税率と異なる」は税率の判定で、K3は種類が違うか、支払額に含まれるものの扱いが違うか、AIには分かりません。禁止事項に書いていてもこうなります。
「税率や計算の正誤に関する記述を削除し、②は対応づけの表だけにしてください。」
②はK7の1件だけ。③は登録情報×が6人、うち今年3回以上の支払が2人。④は相手記号14、種類3つの集計表。
K7の支払は、別の担当者が支払って一覧に書いていなかったもの。1行を足します。K3の徴収額は、念のため税理士に「この種類でこの額でよいか」を聞きます。判定は税理士。
往復2回目 ― 登録情報の集め方
③の6人について、「未回収の相手には次回の支払を保留し、情報の提出を条件とすることを推奨します」と付いていた。
6人の抽出はよい。「支払を保留」は相手との契約の話で、経理が一方的に決めることではありません。集め方は担当者と責任者が決めます。
「集め方に関する記述を削除し、③は表だけにしてください。」
表だけになった。
3回以上の支払がある2人には、次の支払の連絡のときに担当者が直接お願いします。残り4人は年内に支払があるかを発注部門に聞き、ある人だけその時に。年明けに連絡がつかない、を避けるため。決めたのは担当者と責任者。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- 支払担当者が1行を書き忘れる … 月次の②で見つかります。見つかった行を足し、書き忘れが続く担当者には支払の手順に1行の記入を組み込みます。
- 仕訳の預り金に、源泉以外の預り金が混ざっている … 補助科目か摘要で源泉分だけ抜きます。抜けなければ、預り金の管理の話が先。
- 年の途中から始めたので、それ以前の分がない … 以前の分は年末に遡って集めます。今年は半分だけ楽になる。来年は全部。
- AIがまた税率や集め方を書く … 削除。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- 毎月、一覧の徴収額の合計と仕訳の預り金の増加が一致しているか。差があれば理由が分かっているか。
- 年末時点で、登録情報が×の相手が0か。残っていれば、連絡の記録があるか。
- 税理士に渡す集計表が、一覧から並べ替えるだけで作れたか。遡りが要らなかったか。
- 一覧に、AIの税率の判定や集め方の提案が混ざっていないか。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 年明けの遡りが、一覧の並べ替えに変わります。
- 一覧の漏れが、年末ではなく発生した月に見つかります。
- 登録情報が、連絡のつくうちに集まります。
- 一覧の型が、来年も同じ形で使えます。
- 今月、源泉徴収した支払を1つ思い出し、それが一覧のどこかに書いてあるか見る
- 書いていなければ、1行の型を決めて、その1件から書き始める
- その相手の登録情報が揃っているかを、○×で書く
応用 ― 難易度を上げる場合
支払前の候補拾いは支払う前に「源泉徴収が要りそうな支払」を候補として拾う、給与側の預り金は給与計算の結果と、人件費の仕訳・預り金の残高を突き合わせるへ。納付予定の資金繰りは税金の納付予定を、担当・確認先つきで資金繰り表に載せる。