税金の納付予定を、担当・確認先つきで資金繰り表に載せる
法人税・消費税・源泉所得税・住民税・社会保険料・償却資産税などの納付を、「税目/納付予定日/金額の見込み(税理士の試算または前年実績)/担当/確認先/確定日」の年間表にし、資金繰り表と突き合わせて載っていない納付をAIに出させる方法です。表と突合はAI、納付期限と金額は税理士・国税庁・自治体の公表資料で人が確認し、AIには期限を答えさせません。
1. Before ― 手元はどうなっているか
架空のITコンサル企業、オリオンテクノロジーズ株式会社。資金繰り表は財務が週次で更新しています。ただ、税金の納付が資金繰り表に十分に載っていません。
- 法人税の中間納付の月に、資金が足りなくなりかけた。資金繰り表には「税金」と1行あるだけで、いつ・いくらかが書いていなかった。
- 税目ごとに担当が違う。法人税・消費税は税理士から、源泉と住民税は給与担当から、償却資産税は総務経由で通知が来る。財務に集まらない。
- 金額が確定するのが直前。見込みでも載せておけば、資金の手当てができたのに。
- 去年の納付の一覧がない。「去年はいつ、いくら払ったか」が、帳簿を遡らないと分からない。
納付の期限と金額は、税理士と公表資料の話。この記事でやるのは、納付の予定を年間表にして、資金繰り表に載せ、載っていないものを毎月出すことです。
2. 問題の分解 ― 何を整えれば進むのか
(a) 去年の納付を帳簿から一覧にする … 税目/納付日/金額/担当。AI(仕訳から)。
(b) 今年の納付予定を、税目ごとに「予定日/金額の見込み/担当/確認先」で作る … 予定日は税理士と公表資料で人が確認。金額の見込みは、税理士の試算か、なければ前年実績を「仮」と明記して。
(c) 資金繰り表の「税金」の行と突き合わせ、載っていない納付・金額が違う納付を出す … AI。
(d) 毎月、確定した金額に更新し、資金の手当てが要る月を財務に伝える … 人。
納付期限と金額を答えさせること。AIに「法人税の中間納付はいつまでか」と聞くと、もっともらしい日付が返りますが、貴社の決算期・申告の状況・その年の法令に照らして正しいかは、AIには確かめられません。期限は税理士と国税庁・自治体の公表資料で、金額は税理士の試算で。AIに任せるのは、去年の一覧の抽出と、予定表と資金繰り表の突合まで。
3. AIに任せること/人が判断すること
- 去年の仕訳から、税金・社会保険料の納付を税目ごとに一覧にする
- 人が確認した予定日と見込み額から、年間の納付予定表を整える
- 資金繰り表の「税金」の行と突き合わせ、載っていない納付・金額の違う納付を出す
- 月ごとの納付の合計と、資金繰り表の月末残高の見込みを並べる(判断はしない)
- 予定日と金額(税理士・公表資料・給与担当・総務に確認)
- 資金の手当て(財務)
- 担当と確認先の割り当て
- 確定した金額への更新
4. 実行 ― AIとのやりとり
準備 ― 去年の納付の仕訳と、今年の予定
去年1年分の税金・社会保険料の納付の仕訳(日付/科目/金額/摘要)、今年の予定日と見込み額(税理士・給与担当・総務に確認したもの)、資金繰り表の「税金」の行。金額は千円単位。
往復1回目 ― AIが「期限」を足した
②に、貼っていない税目が「一般的な納付スケジュール」として追加され、予定日も「通常は○月末」と書かれていた。③の末尾に「11月は資金不足の可能性があるため、借入の検討を推奨します」と付いていた。
足された税目と予定日は、貴社に当てはまるか分かりません。期限は税理士と公表資料で確認したものだけ。資金不足の判断と借入の提案は財務の話。禁止事項に書いていてもこうなります。
「貼っていない税目と予定日を削除し、資金の判断・提案の記述を削除してください。②③は貼った情報だけで作ってください。」
①は去年の納付が税目6つで年間22回。②は今年の予定22回。③で、資金繰り表に載っていない納付が3つ(償却資産税の分割分、消費税の中間分、社会保険料の賞与分)。
載っていない3つを資金繰り表に載せます。金額が「仮」のものは、確定したら更新する担当と日を②に書きます。資金の手当てが要るかは、財務が月末残高の見込みを見て判断します。
往復2回目 ― 去年と今年の差
①と②を並べると、去年あって今年の予定にない納付が1つ(税目Xの分割分)。AIは「今年は納付が不要になった可能性があります」と書いた。
去年あって今年ない、の抽出は、これが見たかったもの。「不要になった可能性」は推測で、予定表の作り漏れかもしれません。
「推測を削除し、『去年あり・今年の予定なし』の事実だけにしてください。」
表だけになった。
税理士に確認すると、予定表の作り漏れでした。去年の一覧と今年の予定を並べるだけで、漏れが見つかる。予定表に足し、資金繰り表にも載せます。
5. エラーと例外 ― うまくいかないとき
- 税理士の試算が間に合わない … 前年実績を「仮」で載せます。仮のまま資金の手当てをしておき、確定で直す。仮を載せないより、ずっと安全です。
- 担当がばらばらで集まらない … 年間表を財務が持ち、各担当に「確定したら財務に連絡」を頼みます。表があれば、聞く相手が決まります。
- 納付日が土日祝に当たる … 実際の納付日は税理士・公表資料で確認します。AIに「翌営業日」と決めさせない。
- AIがまた期限や提案を書く … 削除。毎回。
6. 検証 ― 正しいとどう言えるか
- 予定表の予定日が、すべて税理士・公表資料で確認したものか(AIが足したものがないか)。
- 去年の納付の全部が、今年の予定表にあるか(または不要と確認したか)。
- 資金繰り表の「税金」の行が、予定表と一致しているか。
- 「今月こんなに出るのか」が、この1年で0回か。
7. 注意点
8. After ― 翌月以降、何が変わるか
- 資金繰り表の「税金」が、税目・予定日・仮か確定かつきの行になります。
- 納付の直前に資金が足りなくなる、がなくなります。
- 税目ごとの担当と確認先が決まり、財務に情報が集まります。
- 去年の一覧が、来年の予定表の下敷きになります。
- 去年の仕訳から、税金・社会保険料の納付を数える(税目と回数)
- 資金繰り表の「税金」の行に、それが全部載っているか見る
- 載っていない税目があれば、担当に「今年の予定日と見込み額」を聞く
応用 ― 難易度を上げる場合
資金繰り表のシナリオは資金繰り表の作成を補助し、シナリオ試算を行う、毎朝の残高の見方は複数口座の残高を、毎朝1枚にまとめて「いつもと違う」を見るへ。法人税の資料集めは去年の別表を手がかりに、今年の加算・減算項目の元データを集める、償却資産の申告は償却資産の申告前に、固定資産台帳の増減と前年の申告一覧を突き合わせる。